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「飯伏幸太の本質はロマンチスト」 新日本プロレス退団後、なぜ新興団体で国内復帰したのか? 41歳の哀愁も魅力、“型破りな天才”の現在

posted2023/10/28 11:04

 
「飯伏幸太の本質はロマンチスト」 新日本プロレス退団後、なぜ新興団体で国内復帰したのか? 41歳の哀愁も魅力、“型破りな天才”の現在<Number Web> photograph by GLEAT

GLEAT両国国技館大会の最終試合に登場した飯伏幸太

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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 “ゴールデン・スター”飯伏幸太は一昨年10月、新日本プロレスのG1クライマックス決勝戦で肩を負傷しレフェリーストップ負けを喫した。その後、長期欠場が続く中で新日本を退団(今年1月)。復帰したのは3月30日、アメリカの大会だった。それ以降、飯伏は盟友ケニー・オメガが副社長を務めるアメリカ第2の団体AEWを主戦場としている。

 復帰後、飯伏が日本のリングに登場したのは現在まで1度だけ。2021年に旗揚げした新興団体GLEATの両国国技館大会(8月4日)だった。

 アメリカで活躍していることからも分かる通り、飯伏は世界レベルのスター選手だ。どの団体も“ほしい”存在。その飯伏がなぜ、歴史の浅いGLEATを国内復帰戦の場に選んだのだろうか。

GLEAT代表が語る「飯伏幸太は業界の宝です」

「飯伏幸太は業界の宝です。だからこそ“何をしてもらうためのオファーか”を考えなくてはいけない。今の飯伏さんに動いてもらうには“大義”が必要なんです」

 GLEATの代表である鈴木裕之は言う。団体の母体は広告代理業を主な業務とするリデットエンターテインメント。鈴木はリデットの社長でもある。過去に長州力のプロデュース興行などを手掛け、プロレスリング・ノアの親会社だった時期も。

 飯伏と鈴木の付き合いは、飯伏がフリーだった2018年、長州興行に出場したことから始まった。新日本と再契約する前には、鈴木からレスラー活動に関するかなり大きな、そして具体的な提案もしたことがあるという。

「年に数回、食事に行く関係だったんですが、単なる友人ではなくて。お互いしっかりビジネスの話ができる信頼関係と言えばいいですかね」

 今年1月に飯伏が新日本をやめると、鈴木はすぐに声をかけた。話し合う中で出てきたのが両国国技館大会の開催だ。

「GLEATは後楽園ホールやTDCホールで定期的に大会を開催してきました。着実に認知度を高めてきた自負はあるんですが、観客動員はマックスで1200人ほどの状態。コロナ禍もありますし、プロレス興行のチケットは席種が細分化されているので、お気に入りの場所が取れないなら観戦を見合わせるという場合もある。もちろん対戦カードや曜日など、客入りにはさまざまな要因が関わってきます。その中でGLEATがもう1段階、上に行くにはどうすればいいか。飯伏さんと話をすると“両国でやるといいですよ”と」

【次ページ】 選手たちも知らなかった“飯伏参戦”

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