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「8球団からドラフト調査書」島根の“山の中にいた”18歳…三刀屋の髙野颯太とは何者?「巨人の岡本和真を思い出す」「球場が震えた衝撃弾」 

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井上幸太

井上幸太Kota Inoue

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posted2023/10/23 06:00

「8球団からドラフト調査書」島根の“山の中にいた”18歳…三刀屋の髙野颯太とは何者?「巨人の岡本和真を思い出す」「球場が震えた衝撃弾」<Number Web> photograph by Kota Inoue

島根にある三刀屋高校野球部のドラフト候補・髙野颯太

 試合直後、三刀屋を率いる國分健(こくぶ・たけし)監督の下に、複数のプロ球団のスカウトが名刺を携えて訪れる。秋の活躍が後押しとなり、今春のセンバツ直後に開催された高校日本代表の候補合宿にも招集された。甲子園未出場ながら、ドラフト候補としての知名度を得た。

「すげえな」髙野を生で見た衝撃

「まさかドラフト候補がうちから出るなんて……」は國分監督の弁だ。髙野は学校のある雲南市ではなく、隣接する出雲市の出身。甲子園経験者の父がいる家庭で育ち、小学1年で野球を始めた。地元のスポーツ少年団に入って間もない頃から「チームの誰よりも飛ばしていたと思う」とは、髙野本人の弁だ。

 國分監督が、その存在を意識したのは、中学2年の秋。この夏まで、三刀屋の監督、正捕手という“親子鷹”で戦った長男の泰(たい)が所属していた中学と、髙野を擁する中学が激突した一戦がきっかけだった。國分監督が回想する。

「髙野は『1番・ピッチャー』で出ていて、いきなり左中間にパカーンと打たれてスリーベース。髙野に打たれて、抑えられて息子の中学が負けたんですけど、正直ピッチングの印象はなくて(笑)。とにかく打撃。すげえなって」

 指揮官の長男と同じ中学に在籍し、髙野とは小学生時代から互いをライバル視していた、左の巧打者・槇野隼稀に誘われる形で三刀屋に進学。高校入学直後から、髙野は日々提出する野球ノートの表紙の裏にある「目標」を記す欄に、「プロ野球選手」としたためた。しかしながら、「入ってきて、改めて見ても振る力はすごい。でも、プロに注目される選手になるとは思っていなかった」と國分監督は言う。

いつからプロが現実的に?

 そんな認識が変わり始めたのが昨夏の髙野2年生時。島根大会の準決勝で、結果的に甲子園に出場する浜田の左腕・波田瑛介から放った一発だった。

「引っ張ってポール際とかじゃなくて、右中間に飛ばしたんです。球場のサイズは大きくないんですけど(両翼92、中堅120メートル)、そこは右バッターだと入らんだろう、と思っていたところに入れて。これ、本当に飛ばすバッターじゃんって」(國分監督)

 つづく秋の中国大会で、先述した衝撃の先頭打者弾である。甲子園球場と同じサイズで作られた「しまなみ球場」の左中間への一発に、本人も「この時から本当の意味で『プロに行けるかもしれない』と思えるようになった」。野球ノートの裏表紙の言葉が、漠然とした夢から脱しつつあった。

【次ページ】 疲労骨折でピンチ「スカウトの表情が…」

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