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藤井聡太七冠に敗れて“眠れない”ほどの死闘…観る将マンガ家が胸キュン「永瀬王座の粘り、女流タイトルも三段リーグもアツい!」 

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千田純生

千田純生JUNSEI CHIDA

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photograph by日本将棋連盟/Junsei Chida

posted2023/10/01 06:02

藤井聡太七冠に敗れて“眠れない”ほどの死闘…観る将マンガ家が胸キュン「永瀬王座の粘り、女流タイトルも三段リーグもアツい!」<Number Web> photograph by 日本将棋連盟/Junsei Chida

9月の将棋ハイライト。イラストは関連記事などからご覧になれます!

 誰に投票すればいいのかわからないほど豪華な顔ぶれ。昨年の同大会を観戦したんですが「リレー将棋」が行われたので「羽生&渡辺−藤井&豊島」の戦いが見られるんだろうか? とか妄想するだけで、妻氏はもう昇天してしまいそうです(笑)。

 東京・関西のブロック予選も行われており、青嶋未来六段と山崎八段、稲葉八段の本選進出が決定しています。一方で丸山忠久九段は3年連続、決勝での敗退だなんて……こんなこともあるんですね。

3)女流も順位戦も奨励会も……将棋界全体がアツい

 さて藤井竜王名人の〈八冠ロード〉が大きな注目を集めていますが……将棋界全体を見てみても、アツいトピックスが満載の9月でもありました。まずは白玲戦。9月2日に東京で開催された第1局は里見香奈女流五冠が白星を挙げると、第2局以降は挑戦者の西山朋佳女流三冠が3連勝を飾っています。

 ちなみに第1局の会場控室には立会人の藤井猛九段、そして羽生会長らがいて検討が始まったらしく、清水市代女流七段が見守るという構図に。大盤解説会を担当した中村太地八段も「とてつもなく豪華な光景ですよね……」と感銘を受けていたそうです(笑)。

 その西山女流三冠がタイトル保持者として香川愛生女流四段を迎え撃つのが、10月7日の女流王将戦です。三番勝負という短期決戦の中で“番長”の愛称で人気の香川女流四段が、どんな勝負を見せてくれるのか。

 順位戦A級を見てみると、豊島九段が3連勝で好スタートを切りました。NHK「将棋フォーカス」で半年間講師を務めた(次の糸谷哲郎八段も超楽しみ)決めポーズの「パーフェクト」さながらの強さ! 藤井聡太名人が待つ舞台へとこのまま駆け上がるのでしょうか。

三段リーグを勝ち抜いた2人と、中学生棋士で注目の…

 最後は、棋士への道を目指す「奨励会三段リーグ」の情報を。9月9日に行われた最終局の結果、宮嶋健太三段(24歳/15勝3敗)、上野裕寿三段(20歳/14勝4敗)で四段昇段を決めました。おめでとうございます! なお上野三段の師匠は井上慶太九段ですが……。

<井上九段が師匠の棋士>
稲葉八段、菅井八段、船江恒平六段、出口若武六段、横山友紀四段、狩山幹生四段、藤本渚四段

 まさに安定の井上門下!

 なお「藤井竜王名人以来の中学生棋士誕生なるか」との報道もあった山下数毅三段(15)は、次点でわずかに及ばず。次回の三段リーグ戦から参加する炭崎俊毅三段(15)とともに、どのような戦いを見せるのか……と、将棋界どこを見ても目が離せないポイントだらけなのがうれしい悩みなのです(笑)。

 前述した王座戦第3局、観戦記者さんの熱いレポート、そして永瀬王座の貴重な肉声を記した記事によると、現場は“永瀬王座優勢”のムードだったようですが、一手を契機に展開がガラリと変わってしまう恐ろしさを目の当たりにしました。

 担当編集さんは「永瀬王座が第2局後の夜、眠れなかったという事実を記事で知ると……その重みを痛切に感じます」と話していました。僕ら観る将夫婦もまた、棋士の皆さんが一局に懸ける思いについて、さらに深くリスペクトします。

 秋の気配を感じる中での歴史的対局、またイラストで書き残していければと心します!<構成/茂野聡士>

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