メジャーリーグで昨年まで可能だった徹底的な守備シフトは、花巻東が今大会も見せている戦い方だ。

　例えば3回戦の智弁学園戦、強力打線の相手に対して徹底的な分析を行なった。

　松本大輝や中山優月といった相手スラッガーの打席の際、三遊間または二遊間の距離を詰める、外野をフェンス間際まで配置させるなどのシフトを敷いたのだ。

　佐々木が話す。

「今はそれこそネットの時代で数多く智弁学園さんのゲームを見ることができました。奈良大会、春の近畿大会、春の県大会など17試合を分析しました。だから、根拠を持ってシフトを取ることができました。相手のスイングを見て勘に頼ってポジションを決めたのではなく、根拠を持ってできた。もちろん、逆をいってしまったのもありますけど」

笑顔を見せる佐々木監督と中屋敷祐介投手　©JIJI PRESS

　データが多くのことを証明してくれる時代だ。トラックマンの詳細データがあれば理想だが、それ以外でも自前でデータを収集できる。

　大事な素材を育て上げて、メジャーリーグで挑戦できる選手を生み出した。それが結果として、大きな副産物を生み、花巻東のスタイルを大きく前進させた。

　日本人選手のメジャーリーグ挑戦は新しい文化への誘（いざな）いだ。

「本当にメジャーリーグを見る機会が増えました。先輩らも刺激をくれるので、うまく日本の野球と融合していければと思います」

　佐々木はそう語っている。

　ニュースタイルの花巻東が見せてくれるメジャー化。それは彼ら自身の進歩であり、高校野球へのメッセージにもなり得る。

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