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「オレ、野球は得意じゃないから」いま思う新庄剛志“初めて本音を聞いた”メジャー時代…なぜ日本人初ワールドシリーズ出場を果たせたか?

posted2023/08/01 11:01

 
「オレ、野球は得意じゃないから」いま思う新庄剛志“初めて本音を聞いた”メジャー時代…なぜ日本人初ワールドシリーズ出場を果たせたか?<Number Web> photograph by Getty Images

メジャー時代の新庄剛志。アメリカで3シーズンにわたりプレーした

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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 日本人で初めて「メジャーの4番」を打った新庄剛志(現・日本ハム監督)。2001年からメジャーでプレーした3年間で、多くの「日本人初」を成し遂げた。予想を“裏切った”活躍、あのバリー・ボンズに愛された理由、ポツリ漏らした本音……20年前、現地取材した記者が綴る「シンジョーの真実」。〈全2回の後編/前編

◆◆◆

 メジャー2年目の2002年、サンフランシスコ・ジャイアンツに移籍した新庄剛志は、かのバリー・ボンズの叱咤を受けて新天地初本塁打を放つも、打撃の調子は上がってこなかった。だが、どんなに苦しいシーズンを送っていても悲壮感がまったくないのが新庄のスゴさだった。口から出てくるのは常に前向きな言葉。または「オレ、野球は得意じゃないから」というジョークとも謙遜とも取れる言葉だった。

ライバル活躍まで「心から喜ぶ」

 シーズン序盤には「こんなに打てないのに打席に入るときに声援を送ってくれて、心強かったです」とファンに感謝し、シーズン初本塁打の後には「どっちみち打てないからリラックスして打てと言われて。みんなも見てわかる通り、初球のストライクは全部振ってる」とけろりと言った。

 夏のトレード期限前には、球団が同じセンターを守るケニー・ロフトンを獲得した。ロフトンといえばゴールドグラブ賞を4度受賞し全盛期は5年連続で打率3割達成と盗塁王を獲得した名外野手。移籍してきた当時は全盛期を過ぎていたものの、その名前だけで存在感を発揮できる選手であり、新庄のプレー機会は危うくなった。それでも腐るどころか、さらにポジティブにこう言った。

「こういう高いレベルでの戦いを望んでいたので、ケニーにはどんどん活躍してほしい。こういう状況でレギュラー争いできることは、大きな喜び。こういう選手が来ることを望んでいました」

やっぱり痺れる「シンジョー語録」

 21日ぶりにヒットを放った8月15日のコメントはこうだった。

「試合に出ていれば、いつかヒットは出るだろうと思っていました。去年もここまで長いのは経験なかった。いい経験になってよかった」

 また3試合まったく出番のない日々が続き4試合ぶりにライトでスタメン出場した8月20日の試合後にはこう言った。

「4試合ぶりで感覚はずれるけど、そんなこと言ってもね。試合に出たら結果を出すと思って使っていると思うし。明日は出ないんじゃない、右だから。まあいいじゃん、出なければ死ぬわけでもない。がんばるというか、出たら楽しむ。(ライトは)練習なんてしてない。オレのセンスでカバーした」

【次ページ】 ワールドシリーズに出場するまで

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