――2011年当時と現チームを比較すると、当時は澤穂希さんという圧倒的なリーダーがいました。今大会でそういう存在になれるのは？

安藤　キャプテンの熊谷紗希選手（32歳／ローマ）は経験が豊富なので、チームの中で求心力があると思います。でも、現地映像からチームの雰囲気の良さが分かるように、今のチームには今のチームの良さがあると思うんですよね。（2011年大会とは）時代も違いますし、選手のキャラクターも違う。この23名で今のなでしこジャパンの良さを自分たちで作り上げていってほしい。澤さんはいまも女子サッカー界で特別な存在ですが、もしかしたら、そういった選手がこの大会中に現れるかもしれません。

――“12年前の世界一”を呪縛、重荷にして欲しくないですよね。

安藤　どうしても「2011年のときはどうだった？」という話になってしまいがちですが、世界はどんどん進んで、女子サッカーのレベルも上がっている。（12年前とは）全然違うものだなと思っています。重く受け止めずに自分たちが新しいものを作り上げていくんだというふうに、思い切ってやってもらいたいというのが本音ですね。

“12年前”の唯一の経験者である熊谷紗希　©︎Getty Images

「観ていると出たくなっちゃうんですよ」

――ちなみに、安藤さんは今の代表チームとどんな接点がありますか？

安藤　選手それぞれとは、WEリーグで戦っていたり、仲の良い選手もたくさんいたりします。フィジカルコーチは私が学生の時にすごくお世話になった先輩ですし、コーチの宮本（ともみ）さんは、初代表のとき同部屋だった先輩ですごく大好きなお姉さん的存在です。そういう関係もあり、すごく応援しています。

――現役選手でありながら、試合の解説をするのはどんな感覚なのでしょうか？

安藤　解説を忘れて試合に見入ってしまいそうになります。レッズレディースの仲間もいますし、南萌華選手（24歳／ローマ）や熊谷選手はそれぞれ高3の頃から見ています。普段WEリーグで戦っている選手たちもいて、本当にもう親心のような気持ちでみんなを応援しています。この大会をきっかけにどんどん世界に羽ばたいてほしいし、やっぱり優勝して笑顔で終えてほしい。選手たちがこの大会にすべてをかけて挑戦していることをよく知っていますから。

©︎Getty Images

――昨季はWEリーグMVPでした。代表活動から引退を表明したわけではないですよね？ 

安藤　表明はしていないですよ。可能性があれば（日本代表に復帰したい）、って思っています。世界的な選手と戦えることは本当に特別なことですし、何よりきっと楽しいだろうなと……こうやって解説をやらせていただいていると、改めてピッチに立ちたいなと思いますね。観ていると出たくなっちゃうんですよ（笑）

（次回につづく）

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