――そうなると、今戦後は統一戦が当面の目標になると思います。井上尚弥選手が返上したバンタム級王座のうち、WBAタイトルは実弟の井上拓真選手（大橋）が王者決定戦に勝って獲得しました。あなたと拓真選手が戦ったら、また興味深いシナリオになりますね。

ND　そうなったら素晴らしいですし、私は拓真との戦いを熱望しています。拓真のサイドも対戦を望んでくれることを願っています。井上サイドの大橋秀行プロモーター、窓口になっているミスター本田（帝拳ジムの本田明彦会長）にもその希望は伝えるつもりでいますよ。ただ、その前に、まずはサンティアゴ戦に集中しなければいけません。今回の試合に勝たなければ何も始まらないのですから。

リボリオ・ソリスに判定勝ちを収め、WBA世界バンタム級王者に輝いた井上拓真（右、2023年4月8日）©︎Takuya Sugiyama

――統一路線と同時に、あなたはスーパーフライ級に下げて戦いたいという希望も述べていました。その方向性は現在もまだあり得るのでしょうか？

ND　機会があるなら1階級下げて戦いたいですが、1試合限定になると思います。私は5階級でタイトルを取りましたが、スーパーフライ級のタイトルは暫定王座でした。日本のファン、関係者は暫定王座もカウントしてくれますが、アメリカのメディアはそうではない。だから何の躊躇いもなく5階級制覇と言えるように、ぜひともスーパーフライ級でも王座を勝ち取りたいのです。

　相手は誰でもいいですが、井岡一翔と戦えたらいいですね。中谷潤人との対戦？　はい、中谷戦も素晴らしい機会になりますね。将来はどうなるかわかりませんが、日本は大好きなので、また日本で戦いたいという希望は常に持っています。

井上尚弥から学んだ「100%の準備」

――前戦で戦った井上尚弥選手のことも聞かせてください。昨年のリマッチを振り返ったとき、こうすればよかったと何か後悔していることはありますか？

ND　後悔するのではなく、あの試合からまた多くを学んだという考え方をしています。自身のチームの整備がしっかりできませんでした。父親が来日できなかったので、リングに立つ前に適切なウォームアップができませんでした。トレーナーが1人、一緒にリングに向かうはずだったのがそれも許されず、おかげで準備不足でした。そんな状態のところで井上の強烈なパンチを浴び、そこで試合は終わりました。

　あの日の経験から、すべてにおいて常に100％の準備をしなければいけないと改めて痛感しました。新ディフェンシブ・トレーナーのジュリアスは私の父からも指導を受け、ミット打ちの技量に長けています。今戦に向けて、ウォームアップの点でも怠りはありません。

フルトン戦に向けて公開練習を行った井上尚弥　©︎Hiroaki Yamaguchi

――あなたに勝った井上選手は今月下旬、スーパーバンタム級に上げてフルトンと対戦します。この好カードをどう見ていますか？

【次ページ】　「私も日本に行ってライブで観たい」