口数は少ないが…質問すると「激変」

　先の球団関係者が続ける。

「バウアーとよく接する同僚が言ってましたね。『話せば分かってくれる人だ』って」

　普段からの振る舞いが異様に神経質なわけでもないし、こちらが過度に気を遣わなければならないほど気難しいわけでもない。意外と「普通」な素顔が垣間見える。

ドジャース時代、敵地の試合で相手ファンを煽るバウアー ©Getty Images

　ただ、チームにすっかり溶け込んでいる、というわけでもなさそうだ。別の関係者が言う。

「もともとそんなに口数が多いほうじゃないし、自分から積極的に話しかける感じではないかな。かといって、周りに人がいるのを気にしている様子もないですね」

　ある野手にバウアーの印象について尋ねると「シャイな感じ」と話していたが、それもやはり、誰とでも仲良くコミュニケーションを取るタイプではないことを示しているのだろう。

　面白いのは、チームメイトから声をかけられるとその印象が一変するところだ。上茶谷大河投手がこのように話していた。

「バウアーは自分の考えをすごく持っているみたいだし、むっちゃ考えて、データも活用して投げている。ぼくも、ほかの投手陣も参考にさせてもらっています。『どういう意識で投げてるの？』とか『何やってるの？』みたいなことを聞けば全部返ってきます。トレーニングとか、球種とか、何でも。博士です」

理系出身…データ管理がスゴかった

　UCLA（カリフォルニア大学ロサンゼルス校）で機械工学を専攻していた理系のバウアーは、自身を「オタク」と表現したこともあるという。ピッチングというテーマで意見を求められれば言葉が止まらなくなるようだ。

　研究や分析をベースとする科学的なアプローチは、ほかの選手へのアドバイスだけでなく、もちろん自身の登板に向けても存分に生かされている。

5月3日、日本初勝利を挙げた広島戦。ピンチを切り抜け、吠えるバウアー ©JIJI PRESS

　例えば、毎日のルーティンの一つにコンディションの数値化がある。

　球団関係者の話によると、バウアーは3種の自前の機器を持ち込んで、握力、手の甲で壁を押し込む力、また垂直飛びをする際に両足で床を押す力を日々計測しているという。それによってコンディションを確認し、投球時の参考材料としているらしい。

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