――数値とイメージを一致させていく作業は難しそうですが

平良　すごく簡単にできました。日頃からゲームばっかりやっているので。そのへんは得意なのかも（笑）。

――ゲームをするのと近い感覚がある？

平良　ありますね。攻略法を色々考えていく、みたいな感じが近いかな。

――じゃあ、平良さんにとってデータを見るのは楽しい作業ですか？

平良　楽しいですねー。自分だけでなく、チームメイトやそれ以外の選手の数値も見ています。この人、カーブが曲がっているように見えるけど、本当に曲がっているのかな、とか。スプリット落ちているけど、本当に落ちているのかな、とか……数値と見比べていくのが本当に面白い。

宮崎・南郷での春季キャンプで汗を流す平良　©︎Haruka Saro

――データマニア的に「これはすごい」と思ったのは？

平良　唐川さん（侑己、ロッテ）のカットボール。カットなのに伸びる“伸びカット”ってああいう球なんだって思いますね。高めに抜けているだけじゃなくて、ちゃんと落ちないで曲がっているみたいな。凄いな、これはなんだかおかしいぞ、って。

常識を覆す「ハイボール理論」って？

　昨シーズンの平良の投球のトラッキングデータには、日本球界では珍しい大きな特徴がある。「ハイファストボール（高めに直球）、ローブレイキングボール（低めに変化球）」。直球を高めに集めて、バッターの空振りを奪っているのだ。

――高めのファーストボールは意図的に投げている？

平良　もちろん意図的です。それもデータを分析した上でアドバイスもいただいて、もうそこ（高め）だけ投げていきましょう、ということで取り組んできました。

　投手の「原点」と言われる「外角低め」を無視したスタイルは、ある意味で革命的とも言える。平良が明かす『ハイボール理論』とはどんなものなのか。

〈続く〉

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