「何も変わらないですね。脳内が“野球”という文字で埋まっていそうな……さらにその野球道が研ぎ澄まされている感じはありました。その姿を見るのは懐かしくて、嬉しかったです。ただ、私泣いちゃうんですよね、栗さんの話を聞いていると。その誠実さや崇高さに打たれるというか。今回も大谷選手や斎藤さんの話をしている時に、私もうるっときて、栗さんも涙ぐんでいらっしゃった」

2013年、大谷の日本ハム1年目。6月1日の中日戦でプロ初勝利を挙げた大谷に話しかける栗山監督　©JIJI PRESS

　世界一を目指すWBCの戦いはテレビ越しに応援しているという徳永さん。その思いは。

「ベンチにいる栗山さんを見るのが唯一、苦手なんです。いつも苦しそうですよね、微動だにしなくて。ただ、栗さんは今までと同じように無私の境地で、純度の高い野球への思い、選手への思いを持ってチームを束ねていかれるはずで、それを選手たちは感じて心が動かされると思う。必ず世界一になってくれると信じていますし、その戦いを楽しみにしています。全てが終わった後に、お話をまた聞いてみたいなと思うんですけど、栗さんはまだまだ歩みを止めないでしょうね」

　最後に、栗山監督は徳永さんにとってどんな存在なのか。

「先生……ちょっと違う。なんだろう？　親でもないし、何かもう人を通り越した存在かもしれない（笑）。野球を通して人生を教えてくれる、やはり先生ですかね、“先に生きる”という意味の。全てを包み込んでくれる方だなという風に思います」

＜前編から続く＞

（衣装提供：PAULE KA）