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54歳の現役格闘家・大石真丈はなぜ戦い続けるのか? “格闘技界の仙人”に聞く波乱万丈の30年「途中でやめたら、ただのアホなんで…」 

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長尾迪

長尾迪Susumu Nagao

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photograph bySusumu Nagao

posted2023/02/04 17:01

54歳の現役格闘家・大石真丈はなぜ戦い続けるのか? “格闘技界の仙人”に聞く波乱万丈の30年「途中でやめたら、ただのアホなんで…」<Number Web> photograph by Susumu Nagao

2022年11月の試合前、合掌して集中力を高める大石真丈。54歳の元修斗王者は、なぜ今も現役選手として格闘技を続けているのだろうか

 ZSTのトーナメントでの大石の初戦の相手は、当時はまったく無名の所英男だった。試合は3分13秒、腕十字で一本負け。まさかの結果だったが、大石は「マジかよと思いました」となぜか楽しそうに当時を振り返る。

「しかも尺骨を骨折したんですよ。怪我だけはしないと思ってたのに(笑)。1年くらい痛かったですね。ただ、すぐに次の試合のオファーがありました。所戦がZSTの理想とする試合内容だったみたいで『次もぜひ』と。そう言われたら、断る訳にもいかないですから」

かつての好敵手・所英男には「ただただ頑張ってほしい」

 翌年、ZSTは65キロでトーナメントを開催し、もちろん大石も参加した。2005年1月に行われた準決勝で所にリベンジを果たすも、決勝ではリトアニアのレミギウス・モリカビュチスに敗れた。

「当時は『修斗が強い』と勘違いしていました。でも、他団体にも強い選手がいた。それを思い知りましたね。結局、自分は所くんやレミーガのように華やかな舞台には縁がなかったけど、人にはそれぞれ役割があるんでしょうね。ZSTの主催者からは『若手の挑戦を受ける立場になってくれ』とはっきり言われました。それなら、俺は彼らを倒して壁になればいい、と」

 大石と1勝1敗の所は、地上波で放映されたHERO’Sのアレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ戦で一躍スターダムへと駆け上った。その後のDREAMやRIZINでの活躍はご存知の通りだ。レミギウスもHERO’SやK-1で多くの名勝負を生み出したが、2016年の冬、政情不安のリトアニア国内で凶弾に倒れた。

「彼らに対するライバル心やジェラシーですか? いや、それがまったくないんですよ。所君は昨年の大晦日、減量をしてフライ級(57キロ)で試合をしてましたよね。2005年の大晦日は80キロのホイス・グレイシーと戦っていた。これ、めちゃくちゃスゴいことですよ。所君の試合はずっと見ているけど、ただただ頑張ってほしいなって。それだけです」

<後編へ続く>

#2に続く
「練習で高校生にボコられることも」「ロシアで酷い目に…」54歳の元修斗王者・大石真丈が、それでも総合格闘技を“やめられない”ワケ

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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