「4年間苦しんだ分、絶対に勝ちたくて。一番キツい1年だったし、一番僕らが練習したと思っていたので。だから、優勝できて本当に嬉しかったです。外出もできず、ご飯も食べに行けず、娯楽もない中ずっと寮生活で、ほんと苦しかった。僕の中では、一番苦しんだから優勝できたと思ってますね」

感染対策のため、出迎え役も限られ、代表として神戸が優勝ゴールを出迎えた　©Nanae Suzuki

もし自分が10区を走っていたら…？

　もし自分が10区を走っていたらとの問いには、笑ってこう答える。

「（逆転は）無理でしたね。石川で良かったです。強い後輩がいて幸せでした」

©Wataru Sato

　最後の箱根駅伝を終えて、神戸は疲労困憊の様子で寮に戻った。そこでは控えに回った4年生たちがうれし涙を拭っていた。その姿を見て、もらい泣きする後輩たちも多かったという。

　神戸たちが卒業する際には、下級生が卒部式を開いてくれた。その時、神戸は自分たちがやってきたことが間違いではなかったことを確信できたという。

「4年生が一人ひとり学生生活を振り返って挨拶するんですけど、後輩たちがみんな泣いてくれたんです。自分が下級生の頃は、早く自分が強くなって活躍しなきゃということしか頭になくて、それがいざ自分たちが卒業するときにこうやって慕ってくれる後輩がいて、なんか頑張って良かったなって思いました。田澤も泣いていて、それがすごく印象的で、こんな風に後輩が慕ってくれるチームを作れたんだったら、めちゃめちゃ良かったんじゃないかって思いましたね」

大八木監督が語っていた「神戸の代への感謝」

　全日本駅伝と箱根駅伝の二冠。それを成し遂げたのは、主力とは言いがたい主将が率いたまとまりのあるチームだった。神戸は卒業する際、大八木からこんな言葉を贈られたという。

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