「監督がやめるということを言わずに、3冠達成という目標をみんなで共有するのは難しかったんですが、少なくとも本気で勝ちにいくんだという姿勢を見せることが大事だと思っていました。それを見せ、勝利することができたのが出雲駅伝だったんです。そこで勝って、みんながいけるぞという気持ちになった。出雲の優勝はチームにとってすごく大きかったです」

出雲駅伝でゴールする鈴木芽吹　©Nanae Suzuki

　出雲の優勝で自分たちに自信を深め、全日本大学駅伝もノーミスの完璧な駅伝で優勝した。そして、箱根駅伝に臨んだ。

3連覇を成し遂げた全日本大学駅伝。アンカーは花尾恭輔　©Nanae Suzuki

迎えた箱根駅伝、チームメイトの走りを見た9区・山野は…

異例の展開となった1区、2位集団一番左にいるのが駒大4年の円。山野いわく「緊張しい」だそうだが、見事に2位で襷をつないだ　©JMPA

2区・田澤は12月上旬にコロナ感染で体調が思うように回復しなかったものの、2区で3位の力走。苦悶の表情を浮かべながら走りきった　©JMPA

　往路区間の1区、円が2位で入ってきた時は、感動して泣きそうになった。2区で体調を崩した影響で最後はガチガチになりながらも繋いでくれた田澤は、本当にすごいなと思った。4年生ふたりのスタートから往路優勝を果たし、復路区間、山野は9区で出番を待っていた。

「6区の伊藤がすごくいい流れを作ってくれた」

6区の1年生・伊藤蒼唯　©JMPA

　山野は、勝利の要因のひとつとして6区区間賞を獲った伊藤蒼唯（1年）の走りを挙げた。伊藤は、初の大学駅伝ながら物怖じすることなく、自信をもって山を下り、2位の中央大に47秒差、青学大には7分04秒差をつけて最大のライバルの戦意を喪失させた。

　7区、安原太陽（3年）は昨年ブレーキになった悔しさを1年抱えてこの日に臨み、区間5位で役割を果たした。つづく8区の赤星雄斗（3年）は、初の箱根ながら落ち着いた走りを見せていた。山野は9区で待っている間、大八木監督から電話がかかってきた。

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