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「久保建英が鼻歌を歌いながら…」現地で記者が目撃した“チーム最年少・久保の素顔”…クロアチア戦後に語っていた「押し通すくらいの『個』」 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byKiichi Matsumoto/JMPA

posted2022/12/23 11:05

「久保建英が鼻歌を歌いながら…」現地で記者が目撃した“チーム最年少・久保の素顔”…クロアチア戦後に語っていた「押し通すくらいの『個』」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto/JMPA

最年少ながら、W杯でも存在感を見せた久保建英

スペイン戦前は、リラックスとは正反対だった

 こうして迎えたグループステージ初戦のドイツ戦。半年前の崖っぷち状態からワンステップ毎に序列を塗り替え、栄えある先発の座をつかんだ久保だが、日本チームが大逆転勝利を収めて世界をあっと言わせる中で、守備に追われた前半しかピッチに立つことができないという悔しさを味わった。久保の特長がより生かされると見られた第2戦のコスタリカ戦は出番がなく、次のチャンスはリーグも選手も熟知しているスペインとの第3戦となった。

 ドイツ戦後に、「個人としては全然ダメだったけど、そんなことはどうでもいい。チームが勝ってうれしい」と語るなど、クールな受け答えをしていた久保だが、さすがにスペイン戦前は気持ちが高ぶっている様子がはっきり伝わった。

 試合前日のメディア対応ではミックスゾーンに来るとすぐ、「口だけの選手にはなりたくないので、できればあんまり喋りたくないですね、今は」と報道陣に直接伝え、「勝ち点3にフォーカスできない選手は明日の試合に出るべきではないと思う」という印象的な言葉を残して、約2分半でミックスゾーンを去った。この間、表情を緩めることはまったくなく、カナダ戦前のリラックスムードとは正反対の張り詰めた空気を醸し出していた。

 スペイン戦に先発した久保は、攻撃面で効果的なプレーを見せて後半に期待を持たせていたものの、ドイツ戦と同様にハーフタイムで下げられる憂き目に遭った。

 試合後は「体もキレていたので、このままやってやろうと思っていた矢先の交代だった。今日の交代は予想していなかったので、個人的なことだけを言うとすごく悔しかった」と率直な思いを言葉にしたが、最後は「この2チーム(ドイツとスペイン)に勝って、クロアチアに負けたらもったいない。あと1試合で日本の歴史に名を刻める。歓喜の輪に飲まれるようなプレーをしたい」とベスト8入りをイメージする言葉を残して宿舎に戻っていった。

クロアチア戦翌日に久保が語っていたこと

 しかし、その思いは叶わなかった。冒頭でも触れたクロアチア戦翌日の取材対応。久保はカタールW杯を一度清算し、次に進みたいと考えて姿を現したのだろう。

「4年前のベルギー戦もテレビで見ていて、まさか4年越しにまたテレビで見るとは……。風邪を引いたときは、なんでこうなのかなと思った」という率直な思いを打ち明けながら、個人としてのカタールW杯を「不完全燃焼だった」と“総括”し、辛辣な言葉を並べていった。

【次ページ】 「不完全燃焼感」が久保の原動力に

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久保建英
レアル・ソシエダ
カタールW杯

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