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最も偉大なチャンピオンは誰? フェルスタッペンが更新した年間最多勝利「15」を勝率で考えたら…

posted2022/12/09 11:00

 
最も偉大なチャンピオンは誰? フェルスタッペンが更新した年間最多勝利「15」を勝率で考えたら…<Number Web> photograph by Getty Images / Red Bull Content Pool

2022年の最終戦アブダビGPに勝利し、年間15勝を達成したフェルスタッペン

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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Getty Images / Red Bull Content Pool

 2022年のF1では、また新しい記録が誕生した。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の年間最多勝だ。

 これまでの最多勝は、2004年ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)と2013年セバスチャン・ベッテル(レッドブル)の13勝。もう誰にも破られないであろうと言われていた偉大な記録だった。

 シューマッハが2004年に打ち立てた記録は、そもそも自身が2002年に樹立した11勝を更新して達成したものだった。

 シューマッハ以前の最多勝記録は、1992年にナイジェル・マンセル(ウイリアムズ)が打ち立てた9勝だった。この年のマンセルはアクティブサスペンションなどのハイテク装置が搭載されたウイリアムズのマシン「FW14B」を駆ってシーズンを席巻。前年の1991年にアイルトン・セナ(マクラーレン・ホンダ)が記録した開幕からの連勝記録を1つ更新して「5」に伸ばすと、その後も勝利を重ねてマクラーレン・ホンダの5連覇を阻止し、自身初のチャンピオンを獲得した。

時代を切り開いたシューマッハ

 このマンセルの記録に初めて並んだのがシューマッハだった。自身初のタイトルを獲得した翌年の1995年にベネトンのマシンで9勝を挙げ、2連覇を達成した。シューマッハの勢いは1996年にフェラーリに移籍した後も衰えることなく、2000年と2001年にも年間9勝を記録。2002年にはその記録を「11」まで伸ばして、単独年間最多勝記録保持者となった。

 その2年後の2004年には開幕から5連勝。リタイアに終わった第6戦モナコGP後から再び連勝街道を突っ走り、ハンガリーGPまで7連勝を挙げ、自身が2002年に打ち立てたシーズン最多勝記録を抜くシーズン12勝目をマーク。その後、日本GPでも白星を重ねたシューマッハは、年間13勝という驚異の記録をF1史に刻んだのである。

 このシューマッハの記録に初めて迫ったのが、少年時代にシューマッハに憧れてF1を目指したベッテルだった。史上最年少で2010年に初めて王座に輝いたベッテルは、チャンピオンとして臨んだ2011年になると、持ち前の速さにタイトル争いで得た経験を加え、ひと回り成長してライバル勢を圧倒。年間11勝を挙げて2連覇を達成した。

 シューマッハの記録まで、あと2勝に迫ったベッテルは、翌2012年もタイトルを防衛して3連覇を達成。4連覇を懸けて臨んだ2013年に前半戦を4勝で折り返したベッテルは、後半戦緒戦となるベルギーGPを制すると、その後、最終戦ブラジルGPまで破竹の9連勝を達成。ついに敬愛する英雄の年間最多勝記録に並び、1952年から1953年にかけてアルベルト・アスカリが達成した最多連勝記録にも並んだ。

【次ページ】 いまだ破られないシューマッハの勝率

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