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「人に踏まれる趣味はない」と当初言われたけど…“足でマッサージする日本人”がプレミアW杯戦士や吉田麻也に超信頼されるワケ 

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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photograph byMaddie Meyer-FIFA/Getty Images, Kiichi Matsumoto

posted2022/11/20 11:01

「人に踏まれる趣味はない」と当初言われたけど…“足でマッサージする日本人”がプレミアW杯戦士や吉田麻也に超信頼されるワケ<Number Web> photograph by Maddie Meyer-FIFA/Getty Images, Kiichi Matsumoto

デンマーク代表のホイビェア、吉田麻也は日本人トレーナー木谷氏に大きな信頼を寄せている

 実際にウォードプラウズは昨シーズン、マンチェスター・CのMFケビン・デブライネやリバプールのFWモハメド・サラーと共に、8選手からなるリーグ最優秀選手の候補に選ばれた。また、クラブの年間最優秀選手賞を2年連続で受賞。木谷によると、ウォードプラウズのサッカーに対する真摯な姿勢も近年の活躍につながっているという。

「プレミアで戦っていく上で1番難しい」こととは

「体を触っても、彼は特別に身体能力が高い選手とは思いません。でも、何事にも一生懸命。サッカー人生を全うしようとする強い意志が、体からもすごく伝わってきます。

 ウォードプラウズに限らず、担当する選手には『怪我をせずにずっとハイパフォーマンスを続けることが一番難しい』と伝えています。特にプレミアリーグは、この傾向が顕著です。監督が選んでくれるかぎりは試合に出続けることはできますが、どうしてもプレーに波が出てくる。今日は良いけど、次の試合はダメという選手はいっぱいいます。常に良い状態を、どれだけ長く維持できるか。ここが評価を分けると考えています。プレミアリーグで戦っていく上で、実はこれが1番難しいのです」

 実際、木谷の施術効果はスタッツに現れている。

 2020-21シーズンの国内リーグ全38試合において、フィールドプレーヤーで全試合先発フル出場を果たした選手は2人しかいない。木谷が担当するホイビェアとウォードプラウズである。

 プレミアのトップチームに登録できるのは1クラブにつき原則25名だ。全20クラブで約500選手がしのぎを削る“世界最高峰”の舞台で、木谷が日々メンテナンスを行なっている2選手がフル稼働した事実は決して偶然ではないだろう。選手の努力も当然大きいが、木谷の腕が確かなものである何よりの証拠だ。

カタールW杯でも代表国をまたいで施術予定

 木谷の評判はプレミアリーグで広がり、クライアントは今も増え続けている。最近ではイングランド代表DFルーク・ショウ(マンチェスター・U)やウェールズ代表ベン・デイビス(トッテナム)、スコットランド代表FWチェ・アダムス、イングランド代表歴のあるDFカイル・ウォーカー=ピータース(いずれもサウサンプトン)を新たに受け持つようになった。

 そんなトッププレーヤーをサポートするため、木谷は今月20日に開幕するカタールW杯に同行する予定だ。「代表国をまたいで施術を行なうのは多分、世界で私だけじゃないかと思います」と、木谷は語る。

 中東カタールで行われる4年に一度の祭典、ワールドカップ。夢の舞台に出場する戦士たちのベストパフォーマンスを引き出そうと、木谷は静かに燃えているのだ。

#1からつづく>

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吉田麻也34歳の“肉体改造”を支えて10年目・日本人トレーナーの秘技は“手じゃなく足で施術”…「彼はそうやって欧州で生き残った」

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