「藤原監督、良い表情をしてたんです。ああ、こりゃ中大は自信があるんだとピンときました」

　結果は3位。藤原監督はこう振り返る。

「優勝を狙ってはいましたが、万全ではなかったということです。吉居大和が完調ではなかったので1区に回し、そこから玉突きで中野を3区、吉居駿恭を6区に置く布陣になりました」

2016年3月、中央大監督に就任した藤原正和　©Nanae Suzuki

　3区終了時点で駒大との差がもう少し縮まっていれば、後半に両校の鍔迫り合いが見られたかもしれない。

　藤原監督は悔しさをにじませながらも、収穫はあったと話す。

「4区の阿部（陽樹・2年）、5区の溜池、6区の吉居弟と区間上位でまとめてくれたのは上出来です。もう少し、競った展開であれば、よりいい経験になったとは思いますが、十分でしょう」

　中大は2024年、第100回箱根駅伝の優勝を狙っている。これは大学当局とも共有している「夢」だ。

　その前段階として、今季の全日本で勝ち、箱根では3位以内に入る。これが藤原監督の目論見だろう。

「全日本は、みなさんが驚くようなオーダーで、優勝を狙いに行きたいと思います。楽しみにしていてください」

　2016年のどん底から、優勝候補の一角へ。これだけのV字回復は、奇跡といえるかもしれない。

　2016年の失意は、この部の歴史のなかでは暗黒面かもしれないが、あの衝撃があったからこそ、いま、優勝を狙える位置にまで這い上がってきたのだと思う。

　歴史には、意味がある。

＜青学大編から続く＞

©Nanae Suzuki

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