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「自分の可能性を信じて!」池江璃花子が水泳レッスンを通して小学生100名に伝えたかったこと 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/10/06 11:00

「自分の可能性を信じて!」池江璃花子が水泳レッスンを通して小学生100名に伝えたかったこと<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

泳ぎがもっと上手くなりたい小学3~6年生に対して、真剣に、でも時には笑顔でトップスイマーとしてアドバイスを送る池江璃花子

さっそく自己ベストが出た参加者も

 午前の部でまず強調したのは腕をかくタイミング。「前で両手を合わせると体を浮かす力が働かなくなってしまう」と交互にかくことを意識させ、息継ぎの際の顔の向きやキックのリズム、腕をかく軌道などを教えていった。参加者が4泳法のうち好きなものを選択した午後の部では、バタフライなら膝の使い方、平泳ぎならキックを打つタイミングと泳法ごとの技術を身振り手振りを交えてアドバイスした。

 この日は、ソニーネットワークコミュニケーションズが開発した動画配信システム『スマートスイミングレッスン』も活用。撮影されたばかりの映像を見ながら子どもたちと語り合う場面もあった。ある参加者はバタフライ25mでさっそく自己ベストが出たといい、「これまで15秒台しか出なかったのに今日は14秒台で泳げた」と修了証を手に誇らしげだった。

 レッスンの締めくくりには池江による模範泳法が行われた。プールサイドか水中か、子どもたちはそれぞれ好きな位置に陣取り、オリンピアンの泳ぎを間近で目に焼きつけた。さらに池江自身がその映像を見返しながら、この日のレッスン内容を復習するように解説。自分たちとトップスイマーの違いはどこにあるのか。みんなきっと必死に考え、答えを探したはずだ。

「自分の中にたくさんある可能性を信じて」

 イベントの最後、参加した子どもたちに池江はこう語りかけた。

「自分の中にたくさんある可能性を信じて、これからも楽しみながら、一生懸命に水泳に打ちこんでほしいと思います」

 その言葉は病気を克服して競泳を続けている池江自身の生き方でもあるのだろう。全国から集まった参加者の中には池江と同じように白血病を乗り越えた女の子も2人いて、彼女たちも「初めて会えて嬉しかった」「25mよりもっと泳げるようになりたい」と貴重な時間を楽しんでいた。

 コロナ禍でようやく実現した対面でのレッスン会。技術の向上だけでなく、憧れの池江と触れ合えた経験によって、子どもたちと水泳との絆はさらに深まった。

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池江璃花子

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