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ネイマールやブラジル人が激怒+エール「ドリブルし続けろ、踊り続けろ!」 ビニシウスを襲った“人種差別”…過去にはロベカルやフッキらも 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byDaisuke Nakashima

posted2022/09/28 17:01

ネイマールやブラジル人が激怒+エール「ドリブルし続けろ、踊り続けろ!」 ビニシウスを襲った“人種差別”…過去にはロベカルやフッキらも<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

レアル・マドリーで急成長し、W杯でも活躍が期待されるビニシウス・ジュニオール。彼が“人種差別問題”に襲われている

 個人として世界最多の46個のタイトルを獲得している右SBダニエウ・アウベス(現プーマス=メキシコ)も、バルセロナ在籍中の2014年、スペインリーグの試合で右CKを蹴る直前、スタンドからバナナを投げられた。彼は何食わぬ顔でバナナを平らげてからCKを蹴ったのだが、後に「スペインでの人種差別は日常茶飯事。もう慣れっこだよ」と語っている。

ヨーロッパ以外の各国でも社会問題になっている

 南米でも、アルゼンチン、ウルグアイなどでは黒人選手に対する人種差別的な行為がしばしば起きる。20世紀初頭に南米で代表チーム間の国際試合が始まった頃、ウルグアイ人のファンがブラジル代表の黒人選手を「サル」と呼んだ。これが、フットボールにおける世界最初の人種差別の事例とされている。

 日本にとっても、他人事ではない。2014年、Jリーグの浦和レッズ対サガン鳥栖戦で浦和の一部サポーターがコンコースのゲートに「ジャパニーズ・オンリー」という横断幕を掲げ、大きな社会問題となったのは記憶に新しい。これ以外にも、SNSなどで各クラブのサポーターによる外国人選手への差別的な言動がしばしば起きている。

 非常に残念ながら、フットボールの歴史は人種差別の歴史と言わざるをえない。この悪しき連鎖を断ち切るべく、FIFA、各国のサッカー協会とリーグ、クラブ、メディア、サポーター、ファンはこの問題と真摯に向き合わなければなるまい。

 その一方で、これはフットボールに限った問題ではなく、世界全体、各国の社会全体の問題と考えるべきだろう。それだけに、この問題が簡単に解決されるとは思いにくい。

 それでも、世界最大の人気スポーツであるフットボールが人種差別根絶に向けて真剣に、かつ粘り強く取り組むことが、人類がより良い世界を築くための重要な手掛かりとなるのではないだろうか。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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