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「最後の夏、涙も出なかった」巨人・岡本和真26歳の甲子園、まさかの初戦敗退。「悔いがあるとすれば、負けたことではなく…」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2022/08/13 17:00
甲子園の初戦、明徳義塾戦でタイムリーヒットを放った智弁学園時代の岡本和真
「8回くらいから覚悟は決めていました」
試合の記憶。覚えているのは2本のシングルヒットを放ったが、打球の行方を追いながら一塁をオーバーランしたときに、朝までの雨でぬかるんだグラウンドに足を取られて2度ともこけたことくらいだった。
7回に4点を追加されて突き放されて、その後の頭の中はクールだった。
「もちろんどこで何が起こるかわからないという気持ちはありましたけど、一方的な展開でしたから。どこかでもう終わりやな、というのもあった。8回くらいからは覚悟は決めていました」
ただそこでもう一つ、岡本の頭を過ぎったのが「もう走らなくていいんだ……」という安堵だったのだという。
陸上部かというくらい、走らされた記憶
高校野球の思い出といえば、来る日も来る日もとにかく走った記憶しかない。
「1年生から3年生まで、特に2、3年生のときの練習は『陸上部、ちゃうんかな』というくらいに走らされました」
岡本は振り返る。
「中学生のときとも、プロに入ったいまとも、同じ野球でも高校野球は違うんです。ウチの学校は私生活にも厳しかったから、そういう人間教育という部分も中学のときとは全く違いました。それととにかく、これでもかというくらいに練習をする。その練習への取り組み方や姿勢も、高校野球だけは違うんです」
そんな厳しい練習の中でも、智弁学園が特に重視していたのがランニングだった。
「休日や大会前の追い込み練習の時には朝走って、昼走って、練習終わりの締めで走ってと1日、3回もランニングのメニューがある。普段でもアップでランニングして締めでランニング。しかもその内容が長距離、中距離、短距離のダッシュとかなりの本数を毎日やらされました」
