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まだまだ進化中…“大谷翔平の理想形”はどこに? 五十嵐亮太が指摘「変化の違う2種のスプリットを使っていきながら…」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byGetty Images

posted2022/07/19 11:04

まだまだ進化中…“大谷翔平の理想形”はどこに? 五十嵐亮太が指摘「変化の違う2種のスプリットを使っていきながら…」<Number Web> photograph by Getty Images

すでに自己最多の9勝をあげている大谷翔平。元メジャーリーガー五十嵐亮太が語る、さらなる進化のカギは?

進化のカギは「進化系スプリット」

 そこを極めるのに、中心となる球種はスプリットだと僕は思っています。カウントがとれるし空振りもとれる。被打率1割を切るほどの一級品なので、追い込んでから高い確率でバッターを仕留めるウイニングショットです。実はシーズンの最終盤には、普通のスプリットに加えて、シンカーに近いようなスプリットも投げ始めたんです。左打者には外側に逃げて行くような、右打者には内側に落ちるような軌道を描き、落ち方も大きい。“進化系スプリット”とでも言いましょうか。

 アメリカは昨今、こういうシンカー系のボールが主流で、日本では昨シーズン大活躍したオリックスの山本由伸投手が効果的に投げていました。大谷投手も握りを若干変えているはずで、従来のスプリットと投げ分けていくつもりだと思います。これは絶対的な武器になる。特に右打者にとって捉えづらいボールなので、右打者の内側に投じられれば確実に打ち取れるはずです。また、真っすぐとスプリットの落ち幅が広ければ広いほどバッターの空振りも増える。変化の違う2種のスプリットを使っていきながら、さらに無理のない範囲でスピン量を高めることを意識して伸びのあるストレートを投げていければ、落ち幅はさらに広がり、打者を苦しめることになるでしょう。

 キャンプ、オープン戦を通し調子を上げてきた大谷投手は、4月7日の本拠地アストロズ戦で、開幕投手を務めることになりました。メジャーリーグの開幕戦の雰囲気って、全然違うんですよ。僕もメッツ1年目の2010年、初めて味わったその空気に度肝を抜かれました。試合前のセレモニーで、選手がひとりずつ紹介されるんですが、前年に結果を残せなかった選手には容赦なく大ブーイング。低迷していれば監督やコーチに、怪我人が多ければトレーナーにさえブーイングです。開幕戦からいきなりですよ! あの光景には僕、ちょっと心折れましたから(笑)。

 特にニューヨーカーが厳しいということもありますが、それくらいアメリカ人の野球を見る目は真剣で、地元チームへの思いは熱いんです。昨年大活躍した大谷投手がコールされたときのアナハイムの大歓声は凄いでしょうね。開幕投手ならば、肩を作りながらブルペンでその声を聞くことになる。想像するだけで楽しみです。

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