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井上尚弥の“最後の標的”ポール・バトラー(33)とは何者か? 世界が注目する4団体統一戦へ「私は彼の大ファン。日本に行き、戦いたい」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byL)Hiroaki Finito Yamaguchi/AFLO R)Getty Images

posted2022/06/24 11:04

井上尚弥の“最後の標的”ポール・バトラー(33)とは何者か? 世界が注目する4団体統一戦へ「私は彼の大ファン。日本に行き、戦いたい」<Number Web> photograph by L)Hiroaki Finito Yamaguchi/AFLO R)Getty Images

井上尚弥がバンタム級で目指すベルトはあと1つ。4団体統一に向けてターゲットになるのは“ナイスガイ”のポール・バトラー(右)だ

――5月3日、カシメロのWBO王座剥奪が正式に決まり、暫定王者から世界王者に昇格した際はどんな気分でしたか?

「4日の朝7時頃、『何が起こったと思う? 何が起こったと思う?』と大喜びで叫んだガールフレンドに起こされたんです。最初は何か悪いことが起こったのかと思いました(笑)。そこで自分が正規王者になったことを知り、いくつもの電話やテキストメッセージも受け取りました。肩の荷が下りたような気分でした」

――前回のタイトル奪取から約8年ぶりですが、その間に諦めようと思ったことは?

「自身のキャリアを諦めようと考えたことは一度もありませんでしたが、コロナウイルスの影響もあって、スムーズに試合がこなせなかったのは厳しい時間でした。なかなか先が見えず、次はいつ戦えるのだろうと不安に感じたものです。ただ、可能な限り最高のボクサーになりたいという気持ちは常に持ち続けていました。2014年に一度、世界タイトルを奪った後、また世界王者になるというのが常に私の目標でした。こうして再び王座を手にし、今後も防衛を重ね、統一王者になりたいというのが次の目標です」

――スルタン戦から2日後にはジムに戻り、アマチュア選手たちのセコンドについていたといったニュースも読みました。

「私は毎日ジムに行き、自身のトレーニングをこなし、子供たちを指導するのが日課になっています。その背後には、プロボクサーとして学んできたものを地元の子供たちに還元したいという強い思いがあります。スルタン戦の2日後にはアマチュアの大事な試合があったので、すぐに彼らの元に戻り、コーナーについたというわけです。引退後もトレーナーを続け、アマチュア選手たちをプロに導いていきたいですね」

「ファイトプランを貫けるようになった」

――自身の能力の中で最も誇りに思っている部分とは?

「やはりボクシングスキルですね。最近では自身のファイトプランを貫けるようになったことも大きいと思います。以前は必ずしもそうではなく、特に比較的容易に勝てそうな試合では事前のプランから外れてしまうことがありました。今ではコーナーにいるジョーの声にしっかりと耳を傾け、ぶれずに戦えるようになったことが最大の長所かもしれません。年齢を重ね、より的確なパンチを打てるようになり、自身の力は向上していると感じています。ジムでも以前より気分良く、自信を持ってトレーニングができています」

【次ページ】 井上尚弥のパンチは「とんでもないパワー」

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