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《独占インタビュー》那須川天心が感じていた“武尊に勝ってもらいたい”という空気「こういう気持ちになったのは、堀口さんとの試合以来」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byTHE MATCH 2022/Susumu Nagao

posted2022/06/23 17:02

《独占インタビュー》那須川天心が感じていた“武尊に勝ってもらいたい”という空気「こういう気持ちになったのは、堀口さんとの試合以来」<Number Web> photograph by THE MATCH 2022/Susumu Nagao

『THE MATCH 2022』で武尊と激闘を繰り広げた那須川天心が、NumberWebの独占インタビューに応じた

ある事前アンケートでは7割が「武尊の勝利」を予想

 武尊との世紀の一戦が正式に決まったとき、那須川は嬉しい反面、覚悟もしていた。マッチメークが成立した時点で、すでに知名度では那須川の方が上だったように思われるが、武尊への応援の方が大きくなるかもしれない、と考えていたという。

「だって(世間的には)武尊選手が夢の対決を実現させた、みたいな流れになるじゃないですか」

 両者とも対戦を熱望しながら、“大人の事情”で対戦は実現せずにいた。少なくともK-1は鎖国主義を貫いていたため、今回の開国にあたって武尊側が「能動的に動いた」と思われるのは仕方のないことだった。

 少なくとも関係者の間での勝敗予想は「那須川が有利」という声の方が大きかったが、もっと広い意味での格闘技ファンの声まで耳を傾けると、状況は変わってくる。果たして、この大会をライブ中継したABEMAが事前番組で集計したアンケートによると、実に7割が武尊の勝利を予想した。

 この結果を那須川は冷静に受け止めていた。

「武尊選手に勝ってもらいたい、という気持ちもあって、そういう空気になったのかなと思いました」

「○○が勝つ」と「○○に勝ってもらいたい」の意味は微妙に違う。アンケートひとつとっても、そのニュアンスの違いを肌で感じていた。

 そもそも那須川の定義付けは独特だ。世間と重なり合うところもあれば、全く異なるところもある。その“ズレ”が魅力のひとつにもなっているのだが、武尊戦に対する考え方もそうだった。スポーツライターの立場から見れば、「キックボクサー・那須川天心のラストマッチ」という定義付けになるが、本人の考えはそうではなかった。

「キックボクサー最後の日というより、武尊選手とやるということで、気持ちの高まりはありましたね」

 その理由はひとつしかなかった。

「ここ最近、『天心が負けるんじゃないか』と思われる試合はずっとなかったじゃないですか。こういう気持ちになったのは、たぶん(2018年9月30日の)堀口恭司さんとの試合以来ですね」

【次ページ】 発表会見で「これ以上ないほど上機嫌」だったワケ

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