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人格者マタは「クラブの文化をリセットした方がいい」と絶望…時代に取り残されたマンUに未来はあるか? 《レジェンドOBも「かなり深刻な状態」》

posted2022/06/01 06:02

 
人格者マタは「クラブの文化をリセットした方がいい」と絶望…時代に取り残されたマンUに未来はあるか?  《レジェンドOBも「かなり深刻な状態」》<Number Web> photograph by Getty Images

今季のリーグ戦では6位に終わり、来季のCL出場権を逃したマンチェスター・U。プレミア随一の名門はかつての強さを取り戻せるだろうか

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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 1986年に監督に就任したサー・アレックス・ファーガソンが、2013年に退任して以降、マンチェスター・ユナイテッドは暫定人事も含めて7人もの監督を起用してきたが、時代から完全に取り残されてしまった。

 2016-17シーズンにジョゼ・モウリーニョがリーグカップとヨーロッパリーグの2冠をもたらしたものの、最終盤までプレミアリーグの優勝争いを演じた指揮官は、彼を含めてひとりもいない。

 チャンピオンズリーグも同様だ。13-14シーズン、15-16シーズン、16-17シーズン、18-19シーズンと4回に渡り出場権を逸している。そして今シーズンのプレミアリーグは6位に終わり、またしてもCLの出場権を獲得できなかった。

「稀代の戦術家」は半年が過ぎてもノープラン

 ラルフ・ラングニック暫定体制は、完全なる失敗だ。

「稀代の戦術家」という触れ込みだったが、昨年11月の就任からおよそ半年が過ぎても、ユナイテッドはノープランのままだった。戦術を落とし込むまでに時間がかかるといっても、あまりにも無策に過ぎる。

 また、モチベーターとしても失格だ。

 公の席でハリー・マグワイア、ビクトル・リンデロフをあからさまに批判した。かつてモウリーニョが、ポール・ポグバやルーク・ショーのミスを記者会見で責め、チーム内に大きな亀裂が入ったときと同様の険悪なムードが、ここ3、4カ月のユナイテッドに漂っている。

 ムードを壊した張本人はコンサルタントとして残留する予定だった。ところが一転、オーストリア代表監督に専念するという。ユナイテッドにとっては歓迎すべき人事である。なにしろ選手たちは誰ひとりとして、ラングニックを信用していない。

代々受け継がれてきたDNAまでが完全に消失

「ある選手が入ってきてから、ロッカールームのムードが緩くなりすぎた」

 サー・アレックス体制下でコーチを務めたレネ・ミューレンスティーンの証言である。個人名を明らかにせず、ヒントすら与えてくれなかったが、ある程度の想像はつく。彼の影響によりビッグマッチの直前でもヘラヘラしている者が増え、明るさと軽さを誤解したロッカールームは、急速にだらけたという。

 つねに眉を吊り上げ、臨戦態勢を整えていろとまでは言わない。「命のやり取りをする覚悟でピッチに立つ」は、ロイ・キーンの時代で終わった。

 しかし、昨今ではレアル・マドリーやバルセロナ、リバプールといった名門だけが醸し、強かった頃のユナイテッドが纏っていたオーラ、代々受け継がれてきたDNAまでが完全に消え失せている。

【次ページ】 ユナイテッドの再建を託されたエリク・テンハフ

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