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「佐々木朗希とは次元も時代も違いますよね」「試合後、田口壮がホテルで正座を」野田浩司が明かす“1試合19Kの舞台ウラ” 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2022/05/15 17:01

「佐々木朗希とは次元も時代も違いますよね」「試合後、田口壮がホテルで正座を」野田浩司が明かす“1試合19Kの舞台ウラ”<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

野田浩司と佐々木朗希。1試合最多「19奪三振」の記録保持者だ

「土井さんはリリーフが欲しかったんですね。ほかの人も候補に挙がったようですが、“体が丈夫で故障しないというので野田で”となったようです。でも、オープン戦で打たれて。ピッチングコーチの米田哲也さんは最初から“野田は絶対先発や”と言っておられて、先発になりました」

 この年のオリックスの投手陣は星野伸之、長谷川滋利、山沖之彦、酒井勉、伊藤敦規、佐藤義則などが名を連ねた。その陣容の中で野田は開幕4戦目、4月14日の西武戦で初先発した。

「92年の阪神は新庄、亀山フィーバーでコンサート会場みたいでした。グラウンドにキャーって黄色い声が降ってきましたし、移動の新幹線でもモミクチャでした。そんなところから、イチローが出てくる前のオリックスです。グリーンスタジアム神戸はガラーンとしていて、それでも西武戦はお客が入ると聞いていたのですが、オープン戦みたいでした。

 “何やこれは”と思って投げていたら、試合の途中でキャッチャーの中嶋聡(現オリックス監督)に怒られたんですね。“パ・リーグってこんなもんですよ、自分で勝手にテンション上げなきゃだめですよ。周り気にせんと、自分で興奮して投げてください”って(笑)」

中嶋聡のおかげでパの野球に入っていけた

 続く自身2戦目の近鉄戦で15奪三振を奪った。この試合ではさらに導火線に火がつく出来事があったのだという。

「日生球場でしたが2回までにホームランを4本打たれた。ベンチに帰ったら、バッティングコーチに“ちょっと来い”と言われて“お前、パ・リーグの野球なめてんのか”って言われて。僕は“ピッチングコーチやったらわかるけど、なんでバッティングコーチに怒られなあかんねん”って、なんかめちゃくちゃ腹立って、次の回からやけくそで投げたんですよ(笑)。

 でも、その試合で自信がつきました。阪神ではお客がワーッと盛り上げてくれたから自分の力以上のものが出た、でもパでは自分で盛り上げないと。パ・リーグの野球に入っていけたのは中嶋聡とそのバッティングコーチのおかげです」

野茂と野田のスタイルは何が違ったのか

 さらにこの年の5月25日、米子市民球場での近鉄戦では、野茂英雄とともに延長12回を投げ合って2-2で引き分け。「190球くらい投げたんじゃないかな。野茂も僕もストレートとフォークのピッチャーでしたが、球速は野茂の方がずっと速かったけど、コントロールは僕の方が良かったですね」と野田は同じフォークを決め球にする野茂との違いについて語った。

【次ページ】 イチローは「使えば打つやろうな、と」

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