サッカーの尻尾BACK NUMBER
宿敵相手に衝撃の2ゴールも… 旗手怜央「その点ではフロンターレに似ている」稀代の万能型が考える“セルティックと欧州での生き残り方”
posted2022/06/26 18:02
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph by
Craig Foy/Getty Images(Celtic FC)
オールドファームという舞台で得点を決め我がチームを勝利に導くことは、グラスゴーに生きるフットボーラーにとって最も価値のあることである。
旗手怜央はそれをデビューからたった2週間でやってのけた。緑の群衆は揺れ、実況の声はかれ、日本人は英雄となった。2月1日の衝撃的な2得点、一報はグラスゴーを簡単に飛びこえた。
あの試合の後、ほかのチームのマークが変わったんです
「自分でも驚きはありました。最初から試合に出て活躍したいという思いはありましたが、レンジャース戦のようにすぐに結果に結びつくとは思っていなかったので」
そして祭りのあと。メディアは旗手を新たなスターとした。その名はタブロイドの一面を飾り、テレビで繰り返し流され、グラスゴー人の「HATATE」という発音の精度も飛躍的に向上した。
渦中の人は、そんな周りの評価はあまり気にしなかった。色んな人が色んな意見を持っている、というのは彼の昔からの考えだ。しかしピッチの上での変化は無視できなかった。
「あの試合のあと、他のチームのマークが変わったんです。常に自分の付近に相手がいる。そう感じるようになった。タイトに来るようになったので、そんなマンマークをどう打開していくのかが課題になった。自分でかいくぐるのか、チームメイトをうまく使うのか」
それまで対戦相手は旗手がどういう選手なのかを知らなかった。レンジャース戦での活躍は名刺代わりとなり、相手の寄せは変わった。自由にさせると遠目からでも打たれてしまう。対面の選手は彼の一発を警戒するようになった。今でもグラスゴーで旗手について語られるとき、話は必ずレンジャース戦の得点にいきつく。
こっちにきてより一層、目に見える数字を出していかないと
「もともと得点を取るポジションの選手だったので、得点には常にこだわっていました。でもこっちにきてより一層、目に見える数字を出していかないとという思いが強くなった。争いに勝つという意味でも、ゴールやアシストは目に見える結果なのでそこにすごくこだわっている。日本でも得点への意識はありましたが、このチームで求められていることを考えると、より得点をとらないと。
セルティックだけではなく、日本代表でもポジションを得るためにはインパクトが必要になる。ゴールや結果です。結果を出すと監督も考えると思うので、そこを求めながら徐々に評価をあげていければと。代表でもクラブと同じようにインサイドハーフで勝負したいですね」