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藤波辰巳vs木村健悟“伝説のワンマッチ興行”実現の舞台裏とは? 後楽園ホールに長蛇の列、敗れた木村は「死んだオヤジに申し訳ない…」 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2022/04/14 17:00

藤波辰巳vs木村健悟“伝説のワンマッチ興行”実現の舞台裏とは? 後楽園ホールに長蛇の列、敗れた木村は「死んだオヤジに申し訳ない…」<Number Web> photograph by Essei Hara

左から藤波辰巳、木村健悟、特別レフェリーの上田馬之助。スプリングが外された固いリング上での攻防は、緊張感あふれるものとなった

 翌3日も同カードが組まれたが、今度は藤波が暴走した。

「売られたケンカは買う。勝ったからといって、上にのし上がれるもんじゃないんだ」

 藤波は木村にパンチを見舞い続けて、レフェリーを突き飛ばした。4分22秒、藤波の反則負け。リング上で両者は殴り合いを続けた。セコンドが止めに入っても収拾はつかずに、猪木が「試合預かりの形」で混乱を収めた。収まらない藤波がさらなる決着戦をアピールした。

「藤波から他の試合は一切入れずに、決着をつけたい旨の申し入れがあった。木村には今日中に連絡を取る。両方が傷ついては元も子もないが、このままでは収まりがつかないだろう」(猪木)

 たまたま、後楽園ホールに空きがあったので、新日本プロレスは、14日を仮押さえした。この時点で、本当に1試合だけでやるのか、観客を入れるのかの結論は持ち越しになった。

藤波「完全決着をつけるにはワンマッチしかない」

 木村は4日以降の試合を欠場して、道場で練習を続けていた。それを藤波は「プロではない」と否定した。藤波の表面は静かだったが、いらだちも感じ取れた。

「これはオレたち2人の戦いなんだ。他人には関係ない。フロントはオレたちの試合以外にも何試合か予定しているらしいが、オレとしては木村と完全決着をつけるにはワンマッチしかないと思っている」(藤波)

「オレに会場に来てほしくないって。あいつらは自分たちの色を出そうと必死なんだ。オレがいたら、自然に影響されてしまう。だから、それを断ち切りたかったんだろう」(猪木)

 大人2000円、中学生以下1000円。全席自由席。試合開始19時30分(開場18時)。切符発売、正午(後楽園ホール1階チケットブース)。発売枚数、約2000枚(定員になり次第締め切り)。

 これが開催2日前、1月12日の『ワールドプロレスリング』で告知された内容だった。

【次ページ】 敗れた木村は涙「死んだオヤジに申し訳ない…」

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