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「トミの貢献度は極めて高かっただけに」アーセナルも悩む“冨安健洋23歳のケガ再発問題” 離脱が長引く5つの要因 

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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posted2022/04/13 11:02

「トミの貢献度は極めて高かっただけに」アーセナルも悩む“冨安健洋23歳のケガ再発問題” 離脱が長引く5つの要因<Number Web> photograph by Getty Images

アーセナル移籍後、高いクオリティを見せていた冨安健洋。ただ後半戦は負傷が続き、その雄姿をピッチで見せられていない

 この3日後の8月31日にはアーセナル移籍が決定し、戦いの場をプレミアリーグに移した。9月11日のデビュー戦からの経緯は、先に述べたとおりである。

ベンゲルが語っていた「ケガ防止」対策とは

 思い返せば、元アーセナル監督のアーセン・ベンゲル氏は、W杯や欧州選手権など国際主要大会に出場した選手に、十分な休養を取らせる方針を貫いていた。選手の合流がプレミアリーグの開幕後になっても、ゆっくり体を休ませる。長いシーズンをベストの状態で戦うには十分な休養は不可欠であり、ケガを防止する意味でもその重要性を強く訴えていた。

 例えば、16年に行われた欧州選手権でベスト4に進出した選手には4週間の休暇を与え、さらに10~14日間のトレーニングで体をフィットさせてから、試合に参加させていた。当時ベンゲルは次のように説明していた。

「W杯やユーロなどの主要大会では、精神的にも肉体的にも疲労困憊する。再生するのに2~3週間は必要で、次のシーズンに向けて勝利を欲するようになるにはさらに時間が必要だ。長い目で見れば、4週間の休暇はクラブの利益になる」

オーバーワークだけではない複数の要因

 ベンゲルの理論に立てば、昨シーズンから今シーズンにかけての冨安のスケジュールは明らかにオーバーワークだろう。しかも、これだけではない。

(1)昨シーズンのボローニャでもふくらはぎ(治りにくいと言われるヒラメ筋)を痛めていたこと

(2)東京五輪後にイタリアからプレミアへの移籍が重なり、十分な休暇が取れなかったこと

(3)開幕3連敗を喫していたアーセナルが、即戦力として冨安を必要としていたこと

(4)日本代表DFがプレミア加入後から足にトラブルを抱えながらプレーしていたこと

(5)右SBが手薄なチームの状況から、アルテタ監督が復帰を2度にわたり急がせたこと

 これら複数の要因が今回の長期離脱につながったように思う。

アーセナル自体、主力にケガ人が続出

 アーセナルも、ケガ人が続出している状況だ。

【次ページ】 「トップ4に入るためにはトミの力が必要」なだけに

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