「まさに運と縁とタイミングの産物でした。以前より私から声を掛けていた指導力に長けた方々から、このオフにいい返事をいただけたということです。1998年の日本一のメンバーを集めたように言われますが、決してそういうわけではありません。ただコーチ人材のコネクションは広げてはいますが、球団に近かった人材に繋がることが多いのも事実です。とはいえ、このタイミングというのは本当にご縁があったのだと思います。結果、春季キャンプはこれまでとはまったく違う色合いになりましたし、チームの現在の戦いにいい意味で反映されていることは間違いないと思います」

　編成面におけるDeNAのチャレンジは確実にチームを変化させる要因になっているようだ。振り返れば高田繁前ゼネラルマネージャー（GM）が球団創設時から数年前まで編成を担いチームの礎を構築してきたが、ここに来て既存のやり方とは違う方向性を球団として見出したと言ってもいいだろう。

「高田前GMの基本的な考え方は、ドラフトで有能な選手を獲得し、育てて一軍で活躍してもらう非常にシンプルで王道なものです。我われとしては、そのスタンスを変えることは考えてはいません。ただそこにプラスして、過去に上手く行かなかったことや学ばなければいけないことがあり、そこをしっかりと認めて反省し、動き出した結果が今回の編成に繋がっています。あらゆる意味で今年ぐらいダイナミックにいろいろなことが変わった年はないと思いますし、これを血肉にしていかないとこの先はないという危機感を持ちつつ、強いチームを作っていきたい」

最下位からの捲土重来を期すシーズン

　三原代表の視線の先には、24年ぶりのリーグ優勝と日本一はもちろん、時に厳しく、時に愛情を捧げてくれるファンがいる。2月1日のキャンプイン、三原代表はチーム関係者全員に「去年がっかりさせたファンの皆さんに、この秋喜んでもらえるようなシーズンに」と伝えている。

「選手たちも我われも非常に悔しいシーズンでしたし、ファンの方々も同様の想いを抱かれたと思います。しかしコロナ禍の入場制限があるなか、横浜スタジアムに足を運んでいただいたファンの方々がたくさんいらっしゃいました。そのことを我われは決して忘れてはいけません。三浦監督は、昨年以上に自身がやりたい野球のビジョンを明確に発言されており、選手たちはそれを実現しようと努力してくれています。秋にはいい結果を出してくれると信じていますし、ファンの方々に恩返しができるように、しっかりと準備をして開幕を迎えたいと思います」

『横浜反撃』のシーズンスローガンを胸に戦う最下位からの巻き返し。あくまでも本番はペナントレース。DeNAの変化は本物なのか、それが証明される時が刻一刻と近づいている。