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「なぜロコ・ソラーレは負けても笑顔でハグ?」「リンドコーチの役割とは?」解説者・金村萌絵に聞く“カーリングの素朴な疑問” 

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金村萌絵

金村萌絵Moe Kanamura

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photograph byJMPA

posted2022/02/16 17:40

「なぜロコ・ソラーレは負けても笑顔でハグ?」「リンドコーチの役割とは?」解説者・金村萌絵に聞く“カーリングの素朴な疑問”<Number Web> photograph by JMPA

韓国に敗れた直後、笑顔でハグをするカーリング女子日本代表のロコ・ソラーレ。結果がどうあっても、明るさは決して失わない

 日本でも“メガネ先輩”の愛称で知られているキム・ウンジョン選手ですが、同じスキップということもあり、個人的には少し藤澤選手に似た雰囲気を感じています。熱い気持ちを持ちながらもクールで、藤澤選手をちょっと寡黙にしたようなイメージでしょうか(笑)。やはり韓国チームは彼女を中心に強い絆でまとまっている。長く一緒にやっているチームならではの、いい雰囲気を醸し出していますね。

「素晴らしい人格者」リンドコーチの役割とは

 2連敗を喫したイギリス戦も、3点を先制された第1エンドが大きなターニングポイントでした。今大会90%前後のショット成功率を記録しているリードの吉田夕梨花選手ですが、2投目、カムアラウンド(ガードの裏にストーンを回り込ませるショット)にきたイギリスのストーンにぴったり縦にフリーズしたいところが、少し横になってしまった。他の選手も含めて大きく乱れたというよりも、小さなズレが積み重なってビッグエンドを作られてしまいましたね。

 この第1エンドはショットのミスというよりも、作戦的なミスもあったかもしれません。藤澤選手が1投目で悩みながらもガードを作ったんですが、直後のイブ・ミュアヘッド選手のナイスショットで厳しい形になりました。こうした選択のミスで負けてしまうと、メンタル的にも苦しくなります。あらかじめ想定して失点を減らすこともできただけに、少しもったいないシーンだったかもしれません。

 日本のコーチであるジェームス・ダグラス・リンドさんはカーリングの最先端カナダ出身で、戦術的には非常に洗練されています。ただ、試合中にコーチと話ができるのはハーフタイムの5分間と、1分間のタイムアウトだけ。1度かぎりのタイムアウトを第1エンドに使うことはないので、難しいシチュエーションでも選手たちが判断しなければいけません。そうしたこともあって、カーリングのコーチの仕事は「自分たちで正しい選択ができるように」というスタンスが基本になります。

 私自身、リンドコーチとあまり深く話したことはないんですが、本橋麻里ちゃんや関係者からは素晴らしい人格者だと聞いています。試合のあとの細かい振り返りやモチベーターとしての役割はもちろん、人生についてのアドバイスも含めて、幅広くチームをサポートしてくれているそうです。

【次ページ】 ロコ・ソラーレは意識的に「ゾーン」に入れるチーム

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