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有馬記念の覇者が“乗馬”に…ブラストワンピースはなぜ種牡馬になれなかったのか? 血統専門家「タイトルがもうひとつあれば…」 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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posted2022/02/12 06:00

有馬記念の覇者が“乗馬”に…ブラストワンピースはなぜ種牡馬になれなかったのか? 血統専門家「タイトルがもうひとつあれば…」<Number Web> photograph by AFLO

2018年の有馬記念を制したブラストワンピースだが、引退後は種牡馬ではなく乗馬になることが発表された

 ハービンジャーは昨年のJRA種牡馬ランキングで11位。16歳になった今も社台スタリオンステーションで繋養されており、種付料は昨年から据え置きの400万円だ。

 ブラストワンピースの母は現役時代に3勝したツルマルワンピース。母の父がキングカメハメハ、2代母ツルマルグラマーの父がサンデーサイレンス直仔のフジキセキ。

 ひょっとしたら、日本の優秀な繁殖牝馬の多くが有しているキングカメハメハとサンデーサイレンスの血が、生産者から敬遠されたのか。そう思い、ブラストワンピースが種牡馬になったと仮定して、昨年の上半期のGIを勝った馬の半きょうだいをつくったとするとどうなるか、架空の配合を試してみた。5代前までに同じ馬が入るインブリードが、例えば、2×3(父方の2代前と母方の3代前に同じ馬がいる)などだと、近すぎて危険な配合と言える。

2021年上半期GI勝ち馬の父をブラストワンピースとした場合の架空配合

フェブラリーステークス/カフェファラオ(母Mary's Follies)の半きょうだい……ミスタープロスペクター5×4

高松宮記念/ダノンスマッシュ(母スピニングワイルドキャット) の半きょうだい……ダンジグ5×3、ミスタープロスペクター5×4

大阪杯/レイパパレ(母シェルズレイ) の半きょうだい……インブリードなし

桜花賞/ソダシ(母ブチコ) の半きょうだい……キングカメハメハ3×2、サンデーサイレンス5×3

皐月賞/エフフォーリア(母ケイティーズハート) の半きょうだい……サンデーサイレンス5×3

天皇賞・春/ワールドプレミア(母マンデラ) の半きょうだい……インブリードなし

NHKマイルカップ/シュネルマイスター(母セリエンホルデ) の半きょうだい……インブリードなし

ヴィクトリアマイル/グランアレグリア(母タピッツフライ) の半きょうだい……ミスタープロスペクター5×5

オークス/ユーバーレーベン(母マイネテレジア) の半きょうだい……インブリードなし

ダービー/シャフリヤール(母ドバイマジェスティ) の半きょうだい……ミスタープロスペクター5×5

安田記念/ダノンキングリー(母マイグッドネス) の半きょうだい……インブリードなし

宝塚記念/クロノジェネシス(母クロノロジスト) の半きょうだい……サンデーサイレンス5×3、ミスタープロスペクター5×4

 ソダシの半きょうだい以外は、血が濃すぎる配合にはならない。ごく少数のシミュレーションではあるが、案外、極端なインブリードにはなりづらいことがわかる。

 種牡馬となるには適さない母系、というわけではなさそうだ。

【次ページ】 需要があるのはスピードやダート適性に秀でた種牡馬

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