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元アイドルの“現役女子高生”がなぜプロレスを? 細川ゆかり(工業高2年)の“やりたいことやりまくり”人生「卒業後は医療系に」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2022/01/16 11:01

元アイドルの“現役女子高生”がなぜプロレスを? 細川ゆかり(工業高2年)の“やりたいことやりまくり”人生「卒業後は医療系に」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

GLEATに所属する高校2年生の女子プロレスラー・細川ゆかり

「学業に専念」から再びプロレスの世界へ

 昨年夏、細川は我闘雲舞を退団する。理由は学業に専念するため。いろいろ手を出しすぎて“本業”がおろそかになったようだ。とはいえプロレスは続けたかった。状況を整えて、あらためて再スタートの場に選んだのが旗揚げしたばかりのGLEAT。そこには、仙女退団から紆余曲折あってたどり着いた元カサンドラ宮城、宮城倫子がいた。

「誰でも」できることが魅力だった練習会からレスラーとなり、さらに男子もいる大きな団体へ。リンリン時代もDDTで活躍中のクリス・ブルックスと対戦することがあったから、違和感はなかった。

 GLEATにはカズ・ハヤシ、CIMAといった実績のあるベテランもいる。団体内のUWFルール部門『LIDET UWF』のトップは田村潔司。細川にはなんのツテもなかったが、面接にこぎつけることができた。

「団体の公式ツイッターにダイレクトメッセージを送ったんです、入りたいですって」

 断られたらプロレスはやめようと覚悟していたそうだ。大胆ではあるが、結果として細川は業界注目の新興団体のメンバーになったのだった。

昨年12月に迎えた“再デビュー”

 12月8日、「細川ゆかり」としてGLEAT初登場の新宿FACE大会では憧れの宮城とエキシビション。30日の東京ドームシティホール大会では、ファンとして見ていた仙女のDASH・チサコとシングルマッチを行なった。これが再デビュー戦という気持ちだった。

 チサコは15年のキャリアを持ち、ハードコアマッチを得意とする実力者。再デビュー戦で闘うには厳しすぎる相手だ。だが団体側は、これを試練ではあっても理不尽なことではないと考えていた。GLEATの親会社は広告代理店業などを営むリデットエンターテインメント。社長の鈴木裕之は、マッチメイクの狙いをこう説明する。

「いきなり強豪選手との試合を組むのは、世の中がそうだからです。社会人になったら“何年目”とか関係ない。新卒だから仕事ができなくてもいいよ、とはならないじゃないですか。広告業界でいえば、コンペの相手に東大卒の電通マンがいたとしても、我々は“こりゃ勝てない”なんて言ってられないですからね」

 ダイビングフットスタンプ3連発など見せ場もあったものの、チサコ戦は完敗だった。だが本人はいたって真剣に勝つつもりだったから、団体からのメッセージはしっかり受け取っていたのだろう。

【次ページ】 「根拠? ないです。でも自信だけはあります」

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