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元アイドルの“現役女子高生”がなぜプロレスを? 細川ゆかり(工業高2年)の“やりたいことやりまくり”人生「卒業後は医療系に」

posted2022/01/16 11:01

 
元アイドルの“現役女子高生”がなぜプロレスを? 細川ゆかり(工業高2年)の“やりたいことやりまくり”人生「卒業後は医療系に」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

GLEATに所属する高校2年生の女子プロレスラー・細川ゆかり

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 なんだかややこしい話なのだが、プロレスには学生プロレス(大学のサークル活動で行なわれるプロレス)というものがあり、一方で“プロのプロレスラー”の中にも学生がいる。

 GLEAT女子部門のホープ・細川ゆかりもその1人だ。2004年生まれの17歳、高校2年生である。デビューは2019年の8月、舞台はさくらえみ率いる我闘雲舞(ガトームーブ)で、対戦相手もさくらだった。

海外公演も行った“元アイドル”がプロレスと出会うまで

 アイスリボン時代からキッズレスラーを輩出、またプロレスを題材にした映画の出演者をレスラーデビューさせるなど、さくらはこれまでの“正統的下積み”とは違う流れから多くの選手を育ててきた。芸能界からの挑戦も多い現在の女子プロレス界、その新しい潮流を作った人物だと言える。

 ただプロレスラーになる以前から、細川に関しては紹介しておくべき話がある。もともとはアイドル、いやその前に子役だった。

 小さい頃から劇団四季のミュージカルが大好きで、『キャッツ』は50回は見に行ったそうだ。何の経歴もなかったが子役に応募すると合格。さらに歌舞伎座の子役も経験した。興味が出たらなんでもやってみたかった。

 アイドルとしては『民謡ガールズ』のメンバーとしてメジャーデビュー。海外公演も行なった。プロレスと出会ったのはこの時だ。

「グループでプロレスの大会の中でパフォーマンスをさせていただく機会があって。そこで里村(明衣子)さんの試合を見たんです」

「プロレスは演劇とかアイドルと近いのかなって」

 里村は“女子プロレス界の横綱”とも呼ばれるトップ選手。センダイガールズプロレスリング、通称「仙女」を経営し、さくらとは対極と言える“本流”を進んできた。仙女の大会を見に行くようになると、細川はカサンドラ宮城のファンになる。フェイスペイントを施した、コミカルな味のヒール(悪役)レスラーだ。

「リングでヘドバンしたりとか凄くインパクトがあって。“悪役いいな、なりたいな”って。仙女さんの大会はかなり行きましたね。宮城さんのグッズを買ってサインももらいました」

 それまではステージで演技をしたり歌ったりしていた。そんな彼女が“闘うこと”のどこに魅力を感じたのだろう。

「なんでしょうね……。でもプロレスは闘うだけじゃないというか。お客様に見せるということでいうと演劇とかアイドルと近いのかなって」

【次ページ】 男子にまじって相撲部に入部…やりたいことをやりまくる

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