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「俺はあいつらが優勝する様子を眺めているだけで終わるのか?」 元アーセナルDFソル・キャンベルが語る“禁断の移籍”と無敗優勝

posted2022/01/12 17:00

 
「俺はあいつらが優勝する様子を眺めているだけで終わるのか?」 元アーセナルDFソル・キャンベルが語る“禁断の移籍”と無敗優勝<Number Web> photograph by Getty Images

黄金時代のアーセナルの最終ラインを支えたソル・キャンベル。47歳となったかつての名DFが栄光に満ちた現役時代を振り返る

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アルトゥル・レナール

アルトゥル・レナールArthur Renard

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 ソル・キャンベルが正式に現役引退を発表したのは、2012年5月。プレミアリーグでの出場歴は500試合を越え、イングランド代表では一時期キャプテンを務めたこともあり、ワールドカップ3大会出場(98年フランス大会、02年日韓大会、06年ドイツ大会)という輝かしい実績を持つ。

 そんな元CBは、現役時代に北ロンドンの地元ライバル間で掟破りの移籍を決断しており、引退後も経営破綻とセミプロ降格の瀬戸際に立たされていたクラブで監督としての第一歩を踏み出すなど、常に我が道を突き進んでいる。

 イングランド代表の守備陣を支えてきた屈強な闘士が、47歳となった今、自らの過去、現在、そして未来を、ざっくばらんに語ってくれた。(翻訳:山中忍)

道を誤らなかったのはウェストハム・パークのおかげ

――引退発表から丸10年が経とうとしていますが、監督としてのセカンドキャリアを考え始めたのは、いつ頃だったのですか?

「27歳の頃だったと思う。コロ・トゥーレがアーセナルに入って来てね。まだ若かった彼に、ピッチ上でコーチングをすることが多かったんだ。その前のトッテナムでも似たような経験があった。4バックで、ルーク・ヤング、スティーブン・カー、マウリシオ・タリッコと一緒にプレーした試合を、よく覚えているよ。若い3人に『俺の後について来い!』という感じで指示を与えながら、ユナイテッドに3-1で勝利した(99年10月23日)。そういう試合を重ねながら、後輩に何かを教えたり、若手を育てたりすることに興味を持つようになっていったんだ」

――幼少時代について教えて下さい。そもそもサッカーを始めたきっかけは?

「かなり内気な子供で、いつもサッカーをしていたようなものだった。俺にとっては、ボールを蹴ることが自己表現の手段だったんだ。懐かしい思い出もあるけど、正直タフな子供時代だったね。男兄弟だけで9人もいる大家族で、自分はガキ扱いの末っ子。生まれ育った東ロンドンの街もラフなエリアでね。他の子のように道を誤ることがなかったのは、近所にウェストハム・パークがあったおかげさ。毎日、学校が終わったら一目散に走って行って、芝生が広がる広い公園でサッカーをしていた。自分が本当に自分らしくいられる時間でもあったから、最高に楽しかったよ」

21歳で迷わずキャプテンマークを頂戴した

――10代で国際経験も積んでいます。

「FA(イングランド・サッカー協会)のスクール・オブ・エクセレンス(99年廃校)があったリレシャル(国内中部)での2年間も良い思い出だ。あの養成機関では、東ロンドンでの学生時代全体で学んだことよりも多くを身につけることができたと思っている。リレシャルのチームではプロクラブのユースチームとの試合も経験できたし、U-18EURO(欧州選手権)でトルコに勝って優勝もした(93年)。4-1で勝ったグループステージのオランダ戦で、クラレンス・セードルフと対決したことを覚えているよ」

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