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「2ラウンド目に決めてください」RIZINシバター戦の“談合疑惑”の核心とは? 久保優太は謝罪「神聖なリングを汚してしまった」

posted2022/01/04 17:04

 
「2ラウンド目に決めてください」RIZINシバター戦の“談合疑惑”の核心とは? 久保優太は謝罪「神聖なリングを汚してしまった」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

試合開始1分過ぎ、シバターの右フックを被弾する久保優太。「2ラウンド目から本気で」という“談合”が事実だとすれば、この攻撃に面食らったことだろう

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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RIZIN FF Susumu Nagao

「みんな俺が負けると思っていただろ? YouTuberは強いんだぁ!」

 その台詞は、かつて日本人プロレスラーがMMA(当時はバーリトゥード)に出ると負けを繰り返していた時期に『UFC Japan』のトーナメントで優勝し、「プロレスラーは本当は強いんです」と叫んだ桜庭和志のオマージュだったのだろうか。

 試合後、勝者であるシバターがそうマイクアピールしたときには、トラブル続きでようやく実現したこの一戦も「終わり良ければ全てよし」となると思われていた。

 2021年12月31日、『RIZIN.33』で行なわれたシバターと元K-1王者・久保優太との一騎討ち。試合前の予想では、今回でMMA2戦目ながら立ち技の実績で「久保有利」の声が大きかったが、1Rにシバターが右フックでダウンを奪った直後に、飛びつき腕ひしぎ十字固めで一本勝ちという番狂わせを起こした。

 ちょうど1年前の大晦日には、“魔裟斗2世”HIROYAからダウンを奪った末に一本勝ちを収めている。いずれも体重差があったとはいえ、勝ちは勝ち。しかしながら、これで一件落着とはならなかった。新年早々、久保も巻き込んだうえでの“談合疑惑”が持ち上がってしまったのだ。

交渉の内幕を暴露…“シバターの暴走”は前兆だった?

 知っての通り、RIZINのカテゴリーは格闘技全般。試合はリアルファイトであり、プロレスと混同されていたPRIDE黎明期ならともかく、MMAというジャンルが確立した現在、フェイクは決して許されるものではない。もし疑惑が事実ならば、団体の屋台骨を揺るがす一大事件になりかねない。

 振り返ってみれば、試合前から予兆はあった。当初はシバターvs久保ではなく、シバターvs皇治がプランニングされていた。両者はSNSやYouTubeで挑発合戦を重ねるうちにエスカレート。RIZINとの交渉内容を表に出すことも辞さなかった。結局このマッチメークは流れ、その代替カードとしてシバターvs久保優太が浮上、具現化した。

 12月17日に行なわれたカード発表会見で、榊原信行CEOはカードが消滅した経緯を述べながら、話がこじれたことを謝罪した。

「SNSやYouTubeでいろいろなことが起きているが、裏側が選手たちによって暴露されていくことは正しい形ではない。主催者として、今後こういうことがないようにしたいと思いますが、今回ひとつ、両者に誤解を呼ぶことになっていることに関してはちゃんと伝えておかないといけない」

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