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ラグビー早明戦「対抗戦で負け→大学選手権でリベンジ」は過去に何度? 実力拮抗の“新時代” 明暗を分けた原点回帰とシンプルなミス

posted2021/12/28 11:08

 
ラグビー早明戦「対抗戦で負け→大学選手権でリベンジ」は過去に何度? 実力拮抗の“新時代” 明暗を分けた原点回帰とシンプルなミス<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

PR大賀宗志(3年)のトライで逆転に成功した明治。徹底したFW戦に持ち込み、対抗戦のリベンジを果たした

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Sankei Shimbun

 ここ数年、ラグビーの早稲田と明治のライバル関係について、主に早稲田のOBからこんな声をよく聞いた。

「早明戦と大学選手権、2回連続で勝つのは難しいんですよ」

 今年もその言葉は現実のものとなった。

 2021年度、早明戦(対抗戦)は早稲田が17対7で勝ったが、12月26日に大学選手権準々決勝で再戦。明治が20対15で見事にリベンジし、年明け1月2日の準決勝に駒を進めた。

 早明戦と大学選手権では、本当に勝敗が入れ替わることが多いのだろうか? そこで過去のデータを調べてみた。

 早稲田と明治が大学選手権で再戦となったのは、過去に15度ある。勝敗が入れ替わったケースは実に7度で、ひっくり返った場合に特化してみると、明治が6勝1敗となる。実は、勝敗が入れ替わった7度のゲームは、いずれも名勝負の誉れ高い。

勝敗が入れ替わった“名勝負”

(1)1972年度 明治13-12早稲田
SHは早大主将・宿沢広朗、明大は1年生の松尾雄治(当時は10番ではなく9番)。ノーサイド寸前、明大WTB渡辺貫一郎が宿沢のタックルを振り切り、逆転トライ。

(2)1981年度 明治21-12早稲田
対抗戦では早稲田が大西鐵之祐監督のもと、感動的な勝利を収めるも、選手権決勝では明治が早稲田を圧す。

(3)1982年度 明治13-9早稲田
ラグビー人気絶頂期、早大SO本城和彦の人気沸騰。早明戦では早稲田が23対6と圧勝するも、選手権準決勝では気合いの入った明治が早大黄金BKをノートライ封殺。

(4)1995年度 明治43-9早稲田
対抗戦では早稲田がラストプレーで自陣22mからボールをつなぎ、最後はWTB山本肇が逆転のトライ。しかし選手権では、開始早々から明治の圧力に早稲田が耐えきれず。

(5)2018年度 明治31-27早稲田
実に8年ぶりの選手権での対戦(準決勝)。早大は相良南海夫新監督のもと、早明戦では薄氷の勝利を収めたが、今度は明治が押し切った。

(6)2019年度 早稲田45-35明治
新国立競技場で行われた初めてのラグビー。早明戦では早稲田が7対36と完敗するも、選手権決勝では前半から“電撃戦”を展開、31対0と折り返す。後半、明治が怒涛の追い上げを見せるが、早稲田が勝利。なんと早稲田にとって、早明戦の敗戦を受けて大学選手権で勝敗をひっくり返したのは初めてのことだった。

(7)2021年度 明治20-15早稲田
明大がスクラム戦で圧勝。早稲田は得点機に痛恨のミス。

【次ページ】 実力が拮抗する「早明新時代」

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