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ダルビッシュも認めた大嶺祐太の剛速球…“離島のヒーロー”が千葉ロッテで過ごした15年間「また起き上がって立ち向かう」《中日と育成契約》

posted2021/12/28 17:07

 
ダルビッシュも認めた大嶺祐太の剛速球…“離島のヒーロー”が千葉ロッテで過ごした15年間「また起き上がって立ち向かう」《中日と育成契約》<Number Web> photograph by Chiba Lotte Marines

15年在籍したロッテを離れ、新天地・中日で再スタートを切る大嶺祐太

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梶原紀章(千葉ロッテ広報)

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara

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Chiba Lotte Marines

 大嶺祐太投手(33歳)は、2022年から拠点を千葉から名古屋に移すことになった。

 千葉ロッテマリーンズで15年。通算129試合に登板して29勝(35敗)。濃く思い出深い日々だった。

 ただ、その毎日の中心にあったのは怪我との闘い。決して順風満帆なものではない。

 石垣島で生まれ、島で育った大嶺が、初めて見ず知らずの地に降り立ったのが、2006年12月。首都圏での生活は石垣島で育った若者にとって決して楽な事ではなかった。車がひっきりなしに走り、人がぎゅうぎゅう詰めとなって電車に乗り、分刻みのスケジュールに急ぐ人々とすれ違った。知らない人ばかりの世界。電車のない青い海に囲まれ、知っている人たちとの間で生活を営んできた若者にとっては、あまりにも異次元に感じる環境だった。

 当時の大嶺は「電車に乗るのは怖いです」とポツリと漏らしたことがあった。ストレスの多い毎日だった。

 そんな戸惑いの中で最初に心が動かされたのは入団記者会見後に行われる千葉ロッテマリーンズ恒例のファン参加型の入団会見型イベントだった。出席した大嶺は集まった大勢のファンが作りあげてくれた「大嶺コール」に震えた。

「オレの事をたくさんの人が応援してくれていました。うれしかった」

 戸惑いの日々の中で見つけた大きな感動だった。ファンのために投げる。プロ野球選手という職業の意味を悟った。明確な道を見つけた瞬間だった。

マスクをかぶった里崎「火の玉のようだった」

 スタートは順調だった。1年目はオープン戦序盤から一軍に合流。その後、4月30日の西武戦で一軍デビューをした。勝ち星こそつかなかったが、150キロ近い剛速球を全面に押し出しての投球に誰もが興奮した。

 その時、マスクをかぶった里崎智也捕手(現野球評論家)は「藤川球児と同じようなストレート。火の玉のようだった。これからが楽しみ」と若者の未来に太鼓判を押した。

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