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原晋監督「体育会流の『ハイッ!』といい返事をする人間は伸びない」箱根の常勝軍団・青学で“ヤンチャな学生”が輝く理由

posted2022/01/02 06:01

 
原晋監督「体育会流の『ハイッ!』といい返事をする人間は伸びない」箱根の常勝軍団・青学で“ヤンチャな学生”が輝く理由<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

箱根駅伝ではエースとしての力走が期待される近藤幸太郎(左)と飯田貴之(右)

text by

原晋

原晋Susumu Hara

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Nanae Suzuki

 いよいよ箱根駅伝の開幕だ。そして、その本命はやはり青山学院大学だろう。今シーズンの三大駅伝で青学大は、出雲駅伝2位、全日本大学駅伝2位、と安定した力を見せている。

 コロナ禍で学生スポーツが今まで通りにできない中、青山学院の選手たちは万全の感染対策をしながら、原晋監督と寮母である原美穂さんを中心に寮生活を送り、練習を重ねてきた。

 逆境の中でも、なぜ常勝軍団をつくることができるのか。その秘密を解き明かす、原晋監督著『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』(アスコム刊)から、「体育会流の『ハイッ!』といい返事」をする人間は伸びない、の章を抜粋して紹介する(全3回の1回目/#2#3へ)。

◆◆◆

なんでも「ハイッ!」と答える学生には、全然魅力を感じない

勝負する相手は監督ではない

 スカウティングで全国の高校を回っていると、こちらの問いかけに「ハイッ!」と明るく元気に返事をする選手が多いことに気づきます。

「頑張っている?」と聞いても、「ハイッ!」。

「調子よさそうだね?」と聞いても、「ハイッ!」。

 私の話をなにも聞いていないのか、元気に明るく「ハイッ!」と言っておけばいいと思っているのか、とにかく「ハイッ!」で終わる選手が目につきます。素直だし、印象も悪くありませんが、残念ながら期待できる人材とはいえません。少なくとも、このようなタイプはうちの部では芽が出ないでしょう。

 一般的に監督の言うことになんでも「ハイッ!」と答える学生は、素直で真面目ないい子だといわれます。しかし、私はそういう子にぜんぜん魅力を感じません。いい子だとも思いません。

 もちろん、なかには頭の中でいろいろと考えをめぐらせる子もいるでしょうが、自分でなにも考えていない子が多いように思うからです。

 そういう子は、監督の指示どおりにやってさえいればいいと思っているのでしょう。しかし、その最大の弊害は、練習のときも試合のときも、監督を意識するようになることです。指示どおりに走れているかどうかを確認するレベルならまだしも、監督の顔色をうかがうようになったら最悪です。縮こまってしまって、自分のパフォーマンスを発揮するどころではなくなります。勝負するのはあくまでも競争している相手であって、監督であってはならないのです。

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原晋
青山学院大学

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