濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER

〈スターダム〉“永遠のライバル”キッドとAZMがついに激突…王座戦3wayマッチを前にAZM「同じリングにいるだけで楽しい」 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

PROFILE

photograph byNorihiro Hashimoto

posted2021/12/17 11:03

〈スターダム〉“永遠のライバル”キッドとAZMがついに激突…王座戦3wayマッチを前にAZM「同じリングにいるだけで楽しい」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

11月27日の国立代々木競技場第二体育館大会にて、キッドに挑戦表明をしたAZM

“闇堕ち”キッドは「素に近くて楽しいと思う」(AZM)

 実はキッドも似たような状況だった。そこから抜け出すきっかけになったのが、6月の“闇堕ち”。大江戸隊へのユニット強制移籍とヒール化だった。AZMも“黒くなったライバル”を歓迎している。

「圧倒的に自信をつけましたよね。前は麻優さんのタッグパートナーで、そうするとどうしても“妹”の感じに見えてしまう。今はベビーフェイスとしては出せなかったものが出せて、素に近くて楽しいと思いますよ。キッドは真面目だけど毒も吐くタイプなので。今はベルトも獲って活躍してますよね。もともとそのくらいの力はあったんですよ。自信をつけることで、それが出るようになった」

 今のキッドはどんどんマイクを取り、主張し挑発する。そうしてスターダムの闘いをかき乱し、活性化させる。AZMの盟友・渡辺桃には大江戸隊入りを持ちかけた。12月18日のビッグマッチ、エディオンアリーナ大阪大会では桃、AZM、林下詩美、上谷沙弥の「Queen's Quest(QQ)」と大江戸隊(キッド、小波、鹿島沙希、琉悪夏)の対抗戦が組まれている。これも敗者ユニット強制移動マッチ。桃が大江戸隊に入るか、キッドがQQに移るか。桃はキッドが敗れた場合、マスクを脱いで出直すことを要求した。

18日の結果次第では“素顔のキッドと同門対決”も?

 キッドはこの試合に勝ち、両国でAZMの大事なセコンドである桃を奪ってやろうというところまで考えている。逆にAZMとしては桃の大江戸隊入りを阻止したいが、そうなるとタイトルマッチは“素顔のキッドと同門対決”だ。

「全然いいですよ。立場が仲間だろうと敵だろうとキッドはライバルですから。容赦なく潰しにいくだけです。これまでと何も変わらない」

 そう語るAZMは、この試合でキッドに勝つことだけにこだわっているわけでもない。3wayは誰か1人が3カウント、ギブアップを取ればその時点で試合が終わる。挑戦者同士の決着でもベルトが動くわけだ。

「コグマも元チャンピオンですからね。しかも史上最年少でチャンピオンになって“ハイスピード・ジーニアス”と呼ばれてる。今回は誰に勝っても価値があると思います。私がハイスピードのベルトを獲ったのも3wayなんですよ。だから得意だし、コグマが出てきたのは嫌でもあるけどおいしくもあるなって」

 一方、キッドはAZMのことを「いてもらわなきゃいけない人間」だと言う。

「絶対いつか挑戦してくると思ってたし、大きな会場でやりたかった。だから両国国技館で闘うのは望み通り。コグマがまた挑戦してくるとは思わなかったけど。でもコグマの力も認めて3wayを受けたんだから、それだけのものを両国で出してほしい。AZMとはシングルでやりたかったのに、それを変えたんだからね」

【次ページ】 “3way”はキッドにとって特別な試合

BACK 1 2 3 4 NEXT
スターライト・キッド
AZM
コグマ

プロレスの前後の記事

ページトップ