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「実際、完成された選手になった」自信を隠そうとしない欧州屈指の司令塔・デブライネが明かす想像力の源泉 

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posted2021/12/07 17:02

「実際、完成された選手になった」自信を隠そうとしない欧州屈指の司令塔・デブライネが明かす想像力の源泉<Number Web> photograph by L’Équipe

マンチェスター・シティにとって通算5度目となるプレミア制覇に貢献し、トロフィを掲げるデブライネ

――冒頭の選択に戻りますが、プレーをイメージしたときそれは右足を自然と思い浮かべたのでしょうか?

「そうだね。僕にとって最も大事なのは、ボールを単にチームメイトの足元に届けるようなパスじゃない。誰もが両足を使ってパスを送れる。でもコントロール不能なロケット花火のようなパスをストライカーに送ることだってある(笑)。大事なのは適切なテンポで適切な瞬間にパスを出すことだ。それが僕のプレーに対する考え方で、僕の右足はそのコンセプトを実現するのに最も適しているといえる」

――左足も決して悪くないですが……、あなたが両足を使えるようになったのはお隣さんたちのおかげというのは本当ですか?

「そうなんだ。彼らが丹精こめて育てた花を、僕はボールですべて根こそぎにした。両親はすべてわかっていた。だから庭にはふたつのゴール以外何も置かなかった。ところが家の庭の周囲にはご近所さんの花壇があって、彼らは僕が所かまわずボールを蹴って彼らの花を台無しにするのを嫌がった。だから利き足ではない左足だけで蹴るようにと言ってきて、それが後の人生に役立ったわけだ(微笑)」

――両足が使えるのは相手ディフェンダーに対してのアドバンテージでしょうか?

「彼らは不安に陥る。ディフェンダーが僕の左側にスペースを空けても、僕は右が空くまで際限なく待たないからね」

システムもポジションも関係ない

――(マンチェスター・シティ監督の)ペップ・グアルディオラはほとんどの場合あなたを中盤のつなぎ役として起用していますが、ここ最近は《偽の9番》としても躊躇なくプレーさせています。ゲームメイカーとしては、必ずしもやりやすいわけではないのでは?

「たしかに鎖の先端に行くほど難しくはなるが、それも誰とプレーするかによる。ボールに触れる機会はたぶん減っているのだろうけど、得点の機会はそのぶん増えている。

 真実を知りたいかい? 実はシステムは関係ないし、どのポジションをあてがわれるかも関係ない。何でもOKだ。そんなことで思い悩むには、僕は歳をとり過ぎているのだろう。もう18歳の新人じゃない。どこであろうと合わせられる(笑)」

――それではMFとしては、どんなタイプのフォワードが好みですか。ロメル・ルカク(チェルシー)のような本物の9番か、それともスペースに動く流動的なストライカーなのか?

「そこもまたずいぶん違う。僕はロメルをサイドでプレーさせようとはしない。彼が最も力を発揮するのはサイドではないからだ。彼が真ん中でプレーできるように心がけている。

 でもラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)には、努めて背後にボールを送るようにしている。彼のスピードを生かしたいからだ。

 ただ、考え方はどちらの場合も同じで、最も適したポジションで選手を活用する。それが僕の仕事だからね」

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