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マラソン界最速カップルが結婚 鈴木健吾&一山麻緒「きっかけは“敗北のMGC”」2人の知られざる共通点とは

posted2021/12/06 11:03

 
マラソン界最速カップルが結婚 鈴木健吾&一山麻緒「きっかけは“敗北のMGC”」2人の知られざる共通点とは<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/AFLO

12月1日、男子マラソン日本記録保持者の鈴木健吾(富士通)が女子マラソン単独アジア記録を持つ一山麻緒(ワコール)と結婚したことを発表した

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酒井政人

酒井政人Masato Sakai

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Takuya Sugiyama/AFLO

 マラソン界のビッグカップル誕生に驚かされた方も多いだろう。男子マラソン日本記録保持者の鈴木健吾(富士通)が12月1日、自身のSNSでマラソン(女子単独)アジア記録を持つ一山麻緒(ワコール)と結婚したことを発表したのだ。

 鈴木は26歳、一山は24歳。ともにキャリアの“絶頂期”に向かっている状況だ。旬のアスリート同士が結婚するのは、日本ではレアケースといえるだろう。

 スポーツ紙の報道によると、2019年9月15日のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)に出場した際に会話を交わしたことがきっかけとなり、その後、交際がスタートしたという。

 筆者はふたりがマラソンで活躍する前から取材をしているが、鈴木と一山には共通点が多い。高校時代は全国大会で大活躍することができず、高校卒業後に大きく成長した。初マラソンはともに東京(鈴木は18年、一山は19年)、海外レースでMGC出場権をつかみ、MGCはともに敗退。その悔しさをバネに記録を伸ばしているのだ。

箱根駅伝“花の2区”で注目を浴びた鈴木健吾

 鈴木が小さな喝采を浴びたのは宇和島東高3年時のインターハイだった。5000mで予選を突破して、「あれは誰だ!?」と大学関係者のなかで話題になった。インターハイ後に、多くの大学から勧誘を受けたというが、2年時から声をかけられていた神奈川大に進学。学生駅伝で活躍して、メジャーな存在になった。

 箱根駅伝は4年連続で出場。1年時は6区で区間19位に沈み、2年時も2区で区間14位と振るわなかった。その後、駅伝主将に任命されたこともあり、鈴木の“意識”が変わり始めたという。練習の質や量を少しずつ高めていくと、3年時には花の2区で快走する。区間歴代8位(当時)の1時間7分17秒で駆け抜けて、区間賞を奪ったのだ。そして当時から東京五輪のマラソンを強く思い描いていた。

「まずはユニバーシアードの金メダルが目標です。その後は、箱根2区とマラソンを目指して、取り組んでいきたい。走る距離も少し増やして、筋トレなど補助的なメニューもしっかりやりたいと思っています」(鈴木)

 鈴木の成長を考えると、選手1人ひとりに「4年間の育成方針」を示した大後栄治監督の指導が大きかったように思う。当時、大後監督は、「健吾にはマラソンで2時間10分前後は狙えるようなトレーニング計画を立てて、箱根後のレースに参戦させたいと思っています。箱根の優勝と同じくらいマラソンで成功する選手を育てることも大切ですから」と話していた。

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