松坂　そうなんです。ただ、選手が一番安心するのは、トレーナーやチームドクターに言われるより、監督とかGMに勧められた方が安心するし、「監督が言ってくれるんだったら、じゃあ、受けてみようかな」と思うんじゃないかな。多分、トレーナーやドクターに助言されても「いやあ、でもなあ……」となっちゃう。

　セルソースは多くのチームにメディカルサポートをしているみたいですが、監督やGMクラスにその辺の啓蒙はしているんですか。

裙本　いや、まだですね……。早急に再生医療の可能性を監督やGMに知っていただく機会を作っていこうと思います。

松坂　一世代前の監督さんたちの多くはみんな痛みに耐えてやってきた人たちだし、ケガを隠してやり通すのがカッコいいと思っていた世代なので、ケガに対して繊細ではないと思う（笑）。僕もそうだったし。

　でも、「いつまで持つんだろう」「この痛みはいつまで続くんだろう」と思っている選手はいっぱいいると思う。その不安を持った中でプレーするのはかなりストレスになるし、集中できない可能性もあります。すると当然のようにパフォーマンスも落ちる。

1998年度のドラフトで日本ハム、横浜ベイスターズ、西武ライオンズの3球団が競合の末、西武が交渉権を獲得。1年目から16勝を挙げて最多勝を獲得した　©Sankei Shimbun

「8～9割は何らかの不具合を抱えていた」

裙本　プロ選手の中で全くケガもなく引退する選手と、ケガに泣かされた選手の比率ってどれくらいなんですか。

松坂　僕の感覚では、8割から9割は何らかの不具合を抱えていたんじゃないかな。「オレ、どこも痛くないけど引退する」って言っていた先輩がいたけど「いやいや、あなた、膝全然ダメでしょ」という感じだったし（笑）。痛みを隠し通すのが美学みたいな考えもあり、ほぼみんなどこかに痛みは抱えてやっていたと思いますね。

裙本　そうなるとやっぱり、選手全員がどこか痛くなる前提でチームを運営した方がいいですね。

松坂　そりゃそうです。

裙本　手術になる前に対応していくというチーム文化ができれば、選手は安心してプレーできますよね。

松坂　前にも言ったけど、故障する前には必ず体にサインが出ているので「？」と思った時点で、検査だけでも行った方がいいと思います。

裙本　違和感には何か絶対原因があるはずなので、その原因を解明して、再生医療で対応できるものだったら、その時点で火を消すというのは凄く重要です。

松坂が訴える「体のメンテナンスにはお金をかけてください」

松坂　再生医療の可能性は大きいと思うのですが、そもそもPRPなどはどれぐらい保存できるものなんですか。

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