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「日本はもう少し手強いと思っていた」ラグビー日本代表の欧州遠征《1勝2敗》を対戦国はどう見た? “弟分”ポルトガルとは再戦も 

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竹鼻智

竹鼻智Satoshi Takehana

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posted2021/11/26 17:02

「日本はもう少し手強いと思っていた」ラグビー日本代表の欧州遠征《1勝2敗》を対戦国はどう見た? “弟分”ポルトガルとは再戦も<Number Web> photograph by Getty Images

欧州での3戦を終えて今年度の活動を終了したラグビー日本代表。課題と収穫を得て、次のフェーズに進む

 この試合で勢いをつけたアイルランドは前述したニュージーランド戦で29-20と3年ぶりに勝利を挙げた。彼らにとって日本戦は司令塔の記念ゲームになっただけでなく、大事な一戦へ向けて重要な調整の場になった。

 試合の翌日、現地メディアは「日本はもう少し手強いと思っていた」というトーンでこの試合を振り返っていた。アイルランドの強力FWのプレッシャーを前に37%のボール支配率に留まり、パスの数もアイルランドの215に対して118と、お家芸とも言えるボールを動かすラグビーを見せられなかった日本は、明らかに不調にあると現地で評された。

 ただ、日本にとってこれが2019年W杯以降のテストマッチが4試合目だという状況を、この不調の原因として結論付けている。

勇敢だったポルトガル代表

 代表選手の半数以上が国内のアマチュアクラブでプレーしているポルトガル代表は、日本と同様にボールを大きく動かして体格に勝る相手を翻弄するスタイルを身上とする。秋の代表戦前の時点で世界ランキング19位。史上2度目のW杯出場を目標とするポルトガルにとって、同10位、かつ15、19年大会で世紀の番狂わせを達成したブレイブ・ブロッサムズは、正に兄貴分のような存在だ。

 結果から触れると、最終的には38-25で日本が競り勝った。しかし、試合の終盤で6点差に食い下がった「格下」のポルトガルの健闘が目立った試合とも取れる。

 コインブラという地方都市の市民競技場にもかかわらず、国内で行われたラグビーの試合では史上最高となる1万4000人の観衆が応援に駆けつけた。地元のスポーツ記者によると、スポーツニュースの9割をサッカーの話題が占めるのがポルトガルのスポーツ事情。それを考えれば、いかに注目度が高かった試合かは容易に窺える。

 日本が南アフリカや欧州の強豪国を倒せるなら、俺たちも日本を倒せると言わんばかりに最後まで諦めない姿勢を貫いた“弟分”たちを見た熱心なサポーターたちは、警備がいないのをいいことにビールを持って記者席に乱入し、歌い、叫び、踊った。そして試合が終われば、日本人を見れば握手を求めてきた。

【次ページ】 見出しは「大勝利目前の惜敗」

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