当時、ジャニー氏は米軍施設・ワシントンハイツに暮らしており、そこでフェンス越しに中を眺める日本人の少年たちに声をかけ、野球チームを結成する（※4）。ワシントンハイツは、明治神宮に隣接した、その後、1964年の東京オリンピックの選手村が作られることになる場所である。ワシントンハイツの跡地には、選手村のほかにも、オリンピックの会場となった国立代々木競技場第一体育館が建設された。

　その代々木競技場第一体育館は、オリンピック後も、数多く公演を行うことでV6の聖地と呼ばれたり、嵐がデビュー時にこの場所を握手会で使用したりと、彼らをはじめとする多くのジャニーズグループにとって縁が深い場所になっている。そう、ジャニーズが生まれた場所で、最初の東京オリンピックは行われた。そしてオリンピック後も、ジャニーズタレントたちはその場所を多くの人にとって意味のあるものにし、彩りを加えていったのだ。

ジャニーズが主催した日本大震災復興プロジェクト「Marching J」に集める39万人のファン（代々木第一体育館）　©BUNGEISHUNJU

　そう考えると2021年、世界の“大運動会”であるオリンピックが再び東京で行われた際――。スポーツとエンターテインメントの融合の象徴である開会式を、故・ジャニー喜多川氏と、氏が育てた多くの「Sports Music Assemble People」たちに担って欲しかったとの夢想が消えないのである。

【参考】
※1：スポーツ報知2017年8月25日
※2：テレビ朝日『あいつ今何してる?』2019年4月17日放送
※3：TBS『NEWSの全力!!メイキング』2021年11月19日放送
※4：『渋谷の秘密』／PARCO出版