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“世界一過激な格闘技”で稼ぎ、貧困支援に人生をかける…元ホームレスの「心優しき狂戦士」渡慶次幸平がRIZIN沖縄大会に凱旋 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byKohei Tokeshi

posted2021/11/14 17:04

“世界一過激な格闘技”で稼ぎ、貧困支援に人生をかける…元ホームレスの「心優しき狂戦士」渡慶次幸平がRIZIN沖縄大会に凱旋<Number Web> photograph by Kohei Tokeshi

国内外で子供たちの支援に取り組む渡慶次幸平。地元・沖縄で初めて開催されるRIZINで生きざまを見せられるか

 激闘の代償で、すでに体は悲鳴を上げている。一度は2021年いっぱいでの引退を決意した。しかし、ミャンマーの政変を目の当たりにして考えを改めた。

 今年10月6日、後楽園ホールで行なわれたレバナ・デオグラシャス(コンゴ民主共和国)戦。試合はラウェイルールだったが、渡慶次は三日月蹴りとハイキックを決め2ラウンドにTKO勝ち。試合後、マイクを握ると、「死ぬまでラウェイをやるので、皆さん渡慶次を最後まで見てください」とアピールした。なぜ引退を撤回したのか?

「いま1000年続いているラウェイの歴史が止まっている。海外では僕しかやっていない。ミャンマーで本格的に復興されるまでは引退したらいけないと思いました。この文化を止めるわけにはいかない。その使命を背負って続けるつもりです」

 ラウェイ存続の先には子供たちの未来が広がっている。他の国と同様、ミャンマーでも新型コロナウイルスの感染が広がった。その後民主化デモが勃発すると、国軍が同胞に銃口を向けた。渡慶次は現地の動向が気になって仕方がない。

「現地の子供たちは学校に通っていると思うけど、開校式はまだやっていません。最大都市のヤンゴンはだいぶ平穏になってきているようですが……」

「人生は一度きり。生きざまを残したい」

 スポンサーからの支援で生活し、ファイトマネーは全額寄付するという方針を打ち出す渡慶次は、こんな心情を吐露した。

「試合をすると、お金になる。お金がないと、子供たちの支援ができない」

 高額のファイトマネーを得て、恵まれた生活を送る。それも格闘家のサクセスストーリーのひとつだ。渡慶次も、もっと有名になりたいと願う。しかしながら、それは自分のためではない。有名になることで子供たちにより多くの還元ができると考えているからだ。

「人生は一度きり。より多くの人々の心に僕の生きざまを残したい。みんなの力を借りて、もうちょっと上まで行きます」

 渡慶次のように、格闘技を通して自らのライフワークを見つける生き方もある。RIZINでも、オンリーワンの壮絶な生きざまをアピールすることができるか。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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