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五輪連覇の斉藤仁の息子・立が“オール一本勝ち”の国際大会デビュー 《190cm、160kgの19歳》は最重量級復活の新星となるか? 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2021/11/14 11:00

五輪連覇の斉藤仁の息子・立が“オール一本勝ち”の国際大会デビュー 《190cm、160kgの19歳》は最重量級復活の新星となるか?<Number Web> photograph by AFLO

今春の全日本選抜柔道体重別選手権、男子100kg超級に出場した斉藤。この大会は準決勝敗退の結果に終わった

 19歳という年齢だけを考えれば、そうした課題はあるにしても、まずは結果を残してきた、と評価できるかもしれない。それでも「まだまだ」と言われるのは、重量級の今後を担う斉藤への期待の大きさの表れである。

 日本には過去に名だたる柔道家がいたこともあって、重量級という階級への期待は特別なものがある。だが、現在の最重量級である100kg超級の五輪金メダルは、2004年アテネ五輪での鈴木氏、2008年北京五輪の石井慧の2連覇のあと途絶えている。

 東京五輪では、リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得した原沢久喜が優勝を目標に挑んだが、5位に終わった。

 鈴木監督自身、2016年リオで代表コーチとして重量級をみてきての結果だけに、強い思いはある。就任してから「最重量級の金メダルを」と言うのもそのひとつだ。そして原沢ら中軸となる選手とともに、今後を担う若手の一人としてあげていたのが、斉藤だった。

 秘めているであろう能力を思えば、鈴木監督をはじめ大きく伸ばしていきたいと思うのも自然だ。

大海の広さを知った海外での経験

 今回のグランドスラムバクー大会では、斉藤の意識を高めるため、10月に行なわれたグランドスラムパリに練習パートナーとして同行させ、そのままヨーロッパで練習してバクーの大会に臨む日程が組まれた。パリの大会を観戦し、海外の選手との稽古の中、斉藤は今までに感じたことのない雰囲気を知った。「(もしそれを感じ取っていなければ)井の中の蛙状態でした」と本人評すほど有意義な時間が刺激となり、今回の優勝につながっている。

「ほっとした」と振り返る斉藤は、しかし、それだけにとどまるつもりはない。

「まだまだ日本で勝たないといけないですし、世界では誰も知らないんじゃないですか」

「パリ(五輪)へ、出る試合は勝ち続けないと選ばれないと思っています」

 国際大会初優勝とはいえ、いまだ期待の若手の一人に過ぎないから、斉藤に定まった未来はない。だからこそ、自らの手で未来を作っていこうと考えている。

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