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23歳バースデー冨安健洋は《若くて強いアーセナル再建計画》の象徴… “90年代の伝説4バック”と引き合いにされる「明るい未来」 

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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photograph byStuart MacFarlane/Getty Images

posted2021/11/05 06:00

23歳バースデー冨安健洋は《若くて強いアーセナル再建計画》の象徴… “90年代の伝説4バック”と引き合いにされる「明るい未来」<Number Web> photograph by Stuart MacFarlane/Getty Images

(左から)ベン・ホワイト、セドリク・ソアレス、ティアニー、冨安健洋。アーセナル再建へ世代交代は確実に進んでいる

 実際、この1年で21人もの選手がクラブを去った。この数は決して少なくないが、チームの基盤を再構築するために意図的に行なった。今、アーセナルには、控え選手を含めた選手基盤を作り直す必要がある。1年先か、5年先になるかは分からないが、“強いアーセナル”がもう一度見たい。我々は、未来のためにこの計画を実行に移した」

 アーセナルはベテランと不発戦力を中心に放出を進めながら、20代前半の若手を軸に補強を展開した。要するに、中・長期的な視野に立ち、チームの若返りを図った。この世代交代の中に、日本代表の冨安が加わったというわけだ。

3連敗で最下位スタートから気づけば6位浮上

 ここから、アーセナルの風向きは大きく変わった。9月上旬のインタビュー後、つまり新戦力がチームに加わった後の成績は、リーグ戦7試合で5勝2分の無敗だ。3連敗後に最下位に沈んでいた順位も、6位まで押し上げた。開幕からまだ3カ月が経過しておらず、今後どのように推移していくかは見守っていく必要があるが、少なくとも猛烈な逆風から風向きを変えることに成功した。

 そして、ピッチ上で大きな役割を果たしているのが、先に述べた新加入選手たちだ。新戦力の冨安、ラムズデイル、ホワイトは主力としてチームを支え、ケガから復帰したガブリエウも堅守で勝利に貢献。ヤング・アーセナルが、早くも躍動し始めたのである。

90年代の「フェイマス・フォー」を彷彿?

 好調のチームに大きく貢献しているのが4バックの最終ラインだ。

 CBのホワイト(24)とガブリエウ(23)、左SBのキーラン・ティアニー(24)、そして11月5日に23歳の誕生日を迎えた冨安の4人は、いずれも経験の浅い20代前半の若手である。

 チームを束ねるアルテタ監督は「選手個人で見てもそれぞれにクオリティがあり、(ユニットとしても見ても)お互いの特性を補完しあえる関係にある」と最終ラインを評価し、このように大きな信頼を寄せている。

「今後5~6年は一緒にやっていけるかって? ポテンシャルは高い。彼らの年齢を考えても、このパフォーマンスを維持していけば、彼らには本当に明るい未来が待っている」

 実際に英紙の評価も高まっており、英紙デーリー・メールにいたっては「ファブ・フォー(素晴らしい4人)の誕生」と指摘する。

【次ページ】 バーディー相手にも鮮やかなスライディングタックル

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