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指揮官が賞賛する鎌田大地の「インテリジェンス」と長谷部誠の“ベテランらしさ” 苦しむフランクフルトで2人の評価が再上昇中 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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posted2021/11/04 17:00

指揮官が賞賛する鎌田大地の「インテリジェンス」と長谷部誠の“ベテランらしさ” 苦しむフランクフルトで2人の評価が再上昇中<Number Web> photograph by Getty Images

リーグ戦と並行してヨーロッパリーグを戦う今季のフランクフルト。快勝を収めたオリンピアコス戦では長谷部と鎌田が躍動した

 このプレーの後、長谷部はポジショニングをさらに丁寧にケアした。後半は相手のパスコースに的確に顔を出して、次々にボールをカット。さすがの修正力だった。62分には左サイドでボールを奪い取ると、相手のチェックを受けても慌てず、しっかりと味方へ預けた。ハイボールを処理しようとした相手のトラップ先へタイミングよく寄せて、ボールを奪い取ったシーンもあった。

 長谷部のプレーは地元記者にもとても印象的に映ったようだ。「長谷部が復帰してから守備のバランスが整い、ビルドアップが間違いなく落ち着いた」と、隣の席に座っていた記者が口にしていた。グラスナー監督は「マコトはベテランらしいファンタスティックなプレーをみせてくれた」と賛辞を贈った。

勝利を決定づける今季初ゴール!

 出場機会が減っていたのは鎌田も同様だが、この試合では素晴らしいパフォーマンスを披露した。相変わらず相手守備ラインとMFラインの間にできるスペースの使い方がうまい。わずかなスペースでパスを受けて相手をすり抜けるのもうまい。今季のフランクフルトはそこでタメを作れる選手がおらず、それがチャンスを作れない要因でもあった。

 しかしこの日は、鎌田を経由することでチャンスが演出された。センターにスペースがなくなるとサイドに流れてパスを引き出し、すかさず相手DFライン裏へスルーパスを通す。先制点となったPKも鎌田のパスからだ。

 勝利を決定づけるチーム3点目もマークした。今季初ゴールだ。59分、味方シュートのこぼれ球に鋭く詰めて、巧みなステップでGKをかわし、左足で流し込んだ。喜びの笑顔が弾けたところに、ファンからの大きな拍手が重なる。

 グラスナー監督は、オフェンスで起用した鎌田、コロンビア代表FWラファエル・ボレ、ポルトガル人FWパシエンシアの3人を評価していた。

「ボレは代表戦の疲れもあったが、これまで同様に良いプレーを見せてくれ、ゴンサロとのコミュニケーションも良かった。鎌田も素晴らしい印象を残した。インテリジェンスの高いプレーだ。相手が抑えようとしている狭いエリアでもスペースを見つけ、ライン間でパスを引き出し、スペースへ走り込み、ゴールも決めてくれた」

守備でも成長の跡を残す

 切れのある動きは攻撃だけではない。

「相手が4-1-4-1で来るのは予想していた。ボランチへパスを渡さないよう、そこへの圧力を高めてビルドアップを封じようとした」とグラスナー監督は狙いを明かしていたが、足を止めないで走り続ける鎌田は大きく貢献。成長の跡を残している。

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