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「これだよ、これ!」高橋藍がつなぎ、石川祐希が決める…狩野舞子が“ワクワクした”男子代表の戦い、残り2戦で必要なものは? 

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狩野舞子

狩野舞子Maiko Kano

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photograph byAFP/AFLO

posted2021/07/29 11:05

「これだよ、これ!」高橋藍がつなぎ、石川祐希が決める…狩野舞子が“ワクワクした”男子代表の戦い、残り2戦で必要なものは?<Number Web> photograph by AFP/AFLO

強豪イタリアに敗れるも、見事な連係を見せるバレーボール男子代表。残り2戦、決勝トーナメント進出を懸けた戦いが始まる

 象徴的なプレーが2つありました。1つは、日本が2セットを取り返して迎えた第4セット。17-12で日本が5点をリードしていた場面です。

 まず高橋選手のサーブでカナダの攻撃を乱すと、その1本目を関田選手がレシーブ。2本目を高橋選手がバックセンターから自らが打つと見せかけ、レフトの石川選手にトスを上げた。カナダのブロッカーは高橋選手が打ってくると警戒していたので、石川選手は完全にノーマークです。普段なら絶対にスパイクを下に打ち付けない石川選手が、目の前にブロッカーがいない状況から、気持ちよさそうにスパイクを叩きつけました。

 このプレーで何が素晴らしいか。単に豪快なスパイクを決めたというだけではありません。関田選手のレシーブの正確さ。そのボールを打つと見せかけながらトスにできる高橋選手の技術。そして「自分に上がってくる」と石川選手が万全の準備をしていたこと。この3つが揃ったことで生まれたプレーでした。

 打った後、石川選手の顔が本当に嬉しそうで、この試合で一番と言ってもいいぐらい、大きな声で吼えていた。「これだよ、これ!」と言わんばかりの表情に、個々の高い技術や意識を結集させてもぎ取った点だということが出ていましたね。これこそ石川選手が言い続けてきた「個」の力で勝つバレーなんだと、見ていて感動しました。

つないだ高橋、決める石川

 そして2つ目は、同じ第4セットの終盤。23-19と日本が4点をリードした場面でした。相手ミドルブロッカーの攻撃を山内選手が何とかレシーブするも、ボールはコートの外へ。そこで追いかけ、つないだのが高橋選手でした。

 普通の選手ならば何とか上げる、つなぐのがやっと、という難しいシチュエーション。これを見事に高橋選手はコートの中央に高く返した。そのボールの落下点を測り、バランスを整えながら、最後は片足で踏み切り、豪快にバックセンターから打ち込んだのが石川選手でした。カナダからすれば「崩した」と思う状況から、まさか打ってくるとは思わなかったのではないでしょうか。

【次ページ】 「やはり、攻撃は正義です」

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