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《井上尚弥“2世”出現は?》ボクシングの新“登竜門”日本ユース王座が“大豊作”で井上の師・大橋会長も「未来は明るい」 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2021/07/17 11:00

《井上尚弥“2世”出現は?》ボクシングの新“登竜門”日本ユース王座が“大豊作”で井上の師・大橋会長も「未来は明るい」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

7月8日の日本ユース・スーパー・フライ級王座決定8回戦にて実現した中垣龍汰朗(右)vs.花田歩夢。結果は両者譲らずドロー

 佐々木はデビューから無傷の10連勝(9KO)の19歳。3試合連続1ラウンドKO勝ちをマークするなどパワフルで思い切りのいいボクシングが持ち味で、日本のボクシング界で最も勢いを感じさせる若手の一人だ。対する22歳の湯場はアマチュアでキャリアを培い、こちらもデビューから7勝(5KO)2分と負け知らず。父親は史上初の日本タイトル5階級制覇の記録を持つ湯場忠志という“サラブレッド”である。

 八王子中屋ジムの中屋一生会長は次のように話す。

「ユース戦はキャリア序盤の大きな山場になって、選手の成長を大きく促すことになると思います。プロモーター側としても選手をアピールするのにユース戦はありがたい存在です。やはり同じカードでも無冠戦とタイトルマッチでは注目度が違いますから」

“モンスター”井上尚弥に続く逸材は?

 実はこの試合の勝者が日本ランキング1位の平岡アンディ(大橋)と空位の日本王座をかけて秋に対戦することが既に発表されている。平岡は19年、同門の先輩である世界バンタム級2冠王者“モンスター”井上に続いてアメリカの大手プロモーション、トップランクと契約し、これまでラスベガスで2試合をしてともにKO勝ちをマークした。17戦全勝(12KO)の24歳は既に世界ランキング入りも果たしており、大橋会長が「尚弥の次はアンディだ」と期待を寄せる逸材である。裏を返せば佐々木にしろ、湯場にしろ、17日の試合に勝利すればビッグチャンスが待ち受けているということだ。

 現在のボクシング界は、井上やWBAミドル級スーパー王者の村田諒太(帝拳)、日本人初の4階級制覇を成し遂げた井岡一翔(志成)らそうそうたる顔ぶれが牽引しているが、言うまでもなく彼らの時代はいずれ終わり、次なる世代がボクシング界を担っていかなければならない。これからもユース王座が大いに活用され、次世代のスターが誕生することに期待したい。

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